【ボードゲーム人生相談】大切なコレクションを失った悲しみから、立ち直る方法とは?
暴れ回る「愛着」を何とかするには?

では悲しさはどこから来るかといえば、ある(あった)ものへの愛着からです。愛着が深ければ深いほど、無くなったときの悲しさも大きくなります。愛着が行き場を失って、心の中で暴れ回るのが、「悲しい」という感情の正体です。それは親しかった人でも、大好きだったモノでも同じです。
身近な人が亡くなったとき、その悲しみから時間がかかっても立ち直るよう支援することを「グリーフケア」といいます。その手法をヒントに、大切なコレクションを失った悲しみから立ち直る方法を考えてみましょう。
グリーフのプロセスは一般的に、なくなったものを思い出して虚しい思いに駆られる「ショック期」、同じコレクションを持っている人を疎ましく感じる「喪失期」、何もやる気がなくなる「閉じこもり期」を経て、立ち直ろうとする「再生期」に入ります。
心の状態は時間とともに徐々に変化していき、同じ状態は続かないことを知っておくだけでも、自分の気持ちを客観視できるようになります。
「処分されたものを紙にリストアップし、それぞれの思い出を書き出す」という方法もあります。なくなったもののことを振り返ると、胸が締め付けられ、涙が出てくることもあるかもしれませんが、書き出すことで、心の中で暴れ回っている愛着を外に出すことができます。きちんとお別れしてあげれば、思い出の品々も喜んでくれるのではないでしょうか。
誰かに悲しみを表出することも大切なことです。奥様に対してはどうしても恨み節になってしまうでしょうから、同じ趣味をもつ仲間や、信頼できる人の前でありのままのことを話します。
あらかじめ、「ただの愚痴だから、聞いてくれるだけでいい」と伝えておくとよいでしょう。悲しみを表出することが目的なので、批判はもちろんのこと、分析も助言もいりません。
このようなケアを経て、大切なものを失った悲しみからやがて立ち直っていかれることを、信じております。
最後に、コレクションの醍醐味を味わえるボードゲームを紹介します。
『宝石の煌き』(ホビージャパン)
宝石を集めて鉱山や職人を手に入れ、貴族を取り入れるフランスのボードゲーム。コレクションは組み合わせが大事であること、そして手放すことでもっとよいコレクションができることを教えてくれます。イラストがキレイで、奥様と2人で遊ぶのもよいでしょう。2~4人用、10歳以上、30分、5000円(税別)
(小野卓也)