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ジブリ初期作はあまり売れなかった? 『魔女の宅急便』からNo.1ヒットし始めた理由

鈴木敏夫プロデューサーを発奮させた言葉

『魔女の宅急便』DVD(ウォルト・ディズニー・ジャパン)
『魔女の宅急便』DVD(ウォルト・ディズニー・ジャパン)

 そしてスタジオジブリの転機になったのが、89年に公開された宮崎監督の『魔女の宅急便』です。配給収入21.7億円はこの年の邦画1位、洋画を含めても『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』『レインマン』に次ぐ3位という大ヒットとなりました。これは当時のアニメ映画としては、過去最高の記録です(『宮崎駿全書』フィルムアート社)。

『魔女の宅急便』大ヒットの要因となったのは、宣伝展開にこれまで以上に力を入れたことにあります。鈴木氏(同作ではプロデューサー補佐)は日本テレビに協力を要請し、映画への出資を取り付けるとともに、同局の多くの番組で取り上げてもらうことに成功しました。『魔女の宅急便』以降、スタジオジブリと日本テレビは深い結びつきを持つようになります。

 鈴木氏が発奮したのには、理由がありました。配給を行う東映の担当者に「宮崎さんもたぶんこの〈魔女〉が最後だろう。だってそうに決まってるじゃん。〈ナウシカ〉〈ラピュタ〉〈トトロ〉とやってきて数字がだんだん下がってきた。そうしたら〈魔女〉はもっと下がるだろう。そうしたらそれで終わりだよ」と言われて腹を立てたからです(『風に吹かれて I』)。

 結果的に『魔女の宅急便』は大ヒットします。スタジオジブリは「1本ごとに解散」という方針を大きく転換し、多くの社員スタッフを抱えることになりました。

 ここから91年の高畑監督『おもひでぽろぽろ』は配給収入18.7億円、92年の宮崎監督『紅の豚』は配給収入28億円、94年の高畑監督『平成狸合戦ぽんぽこ』は配給収入26.3億円、95年の近藤喜文監督『耳をすませば』は配給収入18.5億円と、スタジオジブリの作品はすべてその年の邦画ナンバーワンヒットを記録します。そして97年の宮崎監督『もののけ姫』は、配給収入117.6億円で当時の歴代日本映画1位という特大ヒットとなりました。いずれも、作品の力と宣伝が噛み合った結果でしょう。

 スタジオジブリが多くの名作を生み出す原動力になったのは、ひょっとしたら『魔女の宅急便』のときに発せられた配給担当者の一言だったのかもしれません。

(大山くまお)

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