『仮面ライダー』最初の敵「クモとコウモリ」の伝統 令和でどう変わる?
2019年9月から放送開始した『仮面ライダーゼロワン』。第1話に登場した敵はカマキリのようでした。過去のシリーズで仮面ライダーが最初に戦う敵には、クモとコウモリがモチーフの怪人が多い印象があります。今回はそのクモとコウモリの怪人たちの歴史と変遷を紹介します。
最初に戦うの敵といえば、「クモ」と「コウモリ」だった

2019年9月1日(日)から放送が始した令和初の仮面ライダー『仮面ライダーゼロワン』。第1話に登場する敵怪人のモチーフに何が選ばれるか、注目していたファンも多かったかと思います。『ゼロワン』第1話に登場した敵・ベローサマギアのモチーフは、カマキリに似た特徴を持つ絶滅した昆虫クジベローサ・テルユキイでした。
シリーズ第1作目『仮面ライダー』(1971~1973)の第1話に登場した怪人は蜘蛛男(くもおとこ)、第2話に登場した怪人が蝙蝠男(こうもりおとこ)です。『仮面ライダー』のコンセプトは「怪奇アクションドラマ」というもの。その姿形と習性から奇怪な伝承の残るクモとコウモリは、作品の怪奇性を担う“怪人”のモチーフには最適だったといえるでしょう。
第1作目へのオマージュから、仮面ライダー作品の序盤には、クモとコウモリをモチーフにした怪人が登場することが多い傾向です。そのため仮面ライダーと最初に戦う怪人というと、それらをイメージする人も多いかと思われます。
例えば、『仮面ライダーアマゾン』(1974~1975)では第1話にクモ獣人、第2話に獣人吸血コウモリが登場しています。『仮面ライダー(新)』(1979~1980)では第1話の敵こそカメレオンの怪人ですが、第2話はクモ、第3話にはコウモリの怪人が登場しています。
『仮面ライダーBLACK』(1987~1988)でも、第1話の敵に選ばれたのはクモ怪人でした。そして平成仮面ライダーシリーズ第1作目『仮面ライダークウガ』(2000~2001)でも第1話にクモ、第2話にコウモリの怪人が登場しています。
このように原点回帰をうたった作品や、久しぶりにシリーズの製作が再開された節目の作品などでは最初の敵をクモとコウモリの怪人にするという法則性が見られます。そのため、令和になって最初に製作された『仮面ライダーゼロワン』第1話にも、クモをモチーフとした敵が登場するのではと予想した人も多かったのではないでしょうか。
しかし『仮面ライダーW』(2009~2010)以降のいわゆる「平成二期」の10作品では、昆虫や動植物をモチーフにした怪人が減少傾向にあったこともあり、ライダーと最初に戦う敵にクモとコウモリの怪人が選ばれることはなくなってしまいました。