原作と映画で違いすぎ? ナウシカとクシャナの性格 マンガ版は背景の設定がより過酷に
映画『風の谷のナウシカ』は、主人公・ナウシカとトルメキア軍のクシャナのキャラクターが際立った作品でが、原作マンガと映画ではそれぞれの性格に違いがありました。「ふたりの姫」の性格は、映画と原作でどんな違いがあるのでしょうか。
「ふたりの王女」それぞれに異なる設定があった

1984年に公開された映画『風の谷のナウシカ』は、公開から40年近く経った現在でも、多くのファンに愛されています。作品の魅力に華を添えるのは、ヒロイン・ナウシカと、「悪役」として登場するトルメキアの王女・クシャナというふたりの「姫」の存在です。
実はナウシカとクシャナは、原作と映画でそれぞれ違う性格であることをご存じでしょうか。原作では、ナウシカとクシャナのバックグラウンドが深堀りされていて、ふたりのキャラクターが映画よりもさらに奥深いものになっています。
まずは、ナウシカの性格の違いについてご紹介します。映画では、常に「聖女」のようなキャラクターとして描かれているナウシカは、傷ついた王蟲(オーム)の子を自分の命を賭してかばったり、キツネリスに指を噛まれながらも「ホラこわくない」と言って優しく接したりするシーンは、多くのファンが持つナウシカのイメージだと言えるでしょう。
もちろん、ナウシカの心優しい性格は、原作でも変わりありません。しかし原作のナウシカは映画よりもさらに「勇ましい」少女として描かれています。というのも、ナウシカは「風の谷」の族長である父・ジルの「跡継ぎ」として多くのものを背負っているからです。本来は女性であるナウシカが「族長」の役目を継ぐことはなかったのですが、ナウシカのきょうだいたちはみな早くに亡くなってしまい、無事に成長したのはナウシカだけだったのです。
ジルは「女が族長になったためしはないが あいつならやっていけるにちがいない」と言い、トルメキアとの古くからの盟約を守るために、ナウシカを戦場に出すことにしました。
このように育てられた背景があるためか、ナウシカは原作で男性が使うような言葉遣いをすることもあります。さらに、自分たちへの攻撃を止めるため、土鬼(ドルク(原作ではクが小文字))の長である「僧正」を人質にとるなど、ただ優しいだけの少女ではない様子が描かれていました。
ナウシカはその後、土鬼の僧正に「やさしさと猛々しさが混然として奥深い」と評価されています。
実は、映画版でのナウシカも、作中で一度だけ怒りを爆発させます。それは父・ジルがトルメキアの兵士に殺されたときです。怒りに我を忘れたナウシカが、剣士・ユパが身を挺してそれを止めたことで我にかえる……という場面には、原作で描かれたナウシカのキャラクターが反映されているのかもしれません。