漫画家・武井宏之が語る『シャーマンキング』の今後 当初から「異端的な作品」だったのはシンプルな理由?
自分が「変だな」と感じたことをマンガに描いていた

――それではここで、いわゆる「無印」と呼ばれる、最初の『SHAMAN KING』について振り返りたいと思います。連載当時、「戦いに勝って一番になること」よりも、自分の心のありようを大事にする主人公というのは珍しく、たいへん話題になりました。先生自身も以前、「異端的な作品だった」と振り返っています。しかし現代ではその考えはもう普通に受け入れられています。時代が作品に追いついて来た感もありますが、それについてどう考えていますか?
武井 それはね、たまたまです。別に予見したいわけでもないし、つねづね自分が「変だな」と感じていたことをマンガにしていただけで。ただ連載だって競争だってのに、その中で競争しないっていうね……描くのは大変でした。毎週、読者アンケートの戦いってのもヘンだし。だからまあ、今この時代の流れについては、やっと誰かがおかしいことに気づき始めて、ようやくまともになってきたんだと思ってます。
――先生が競争社会のなかで「変だ」と思って抗っていたことが、結果として時代の流れを先取りした……ということになるでしょうか。
武井 先取りはエンタメとして何も褒められたものじゃないし……望み通りになりつつあるのは良いことだけど、当時そのへんを上手く描けていたら、もっと『SHAMAN KING』を浸透させられたのに! とは思います。
Y田 先生はそう仰っていますが、担当編集として見ていると、先生はエンターテイナーとして超一流なので、読者(=お客様)を楽しませるにはどうすればいいか、自分の絵を一番格好良く見せるためにはどうすればいいかを常に考えていると感じています。
それで『SHAMAN KING』シリーズは先生が徹底的なまでに「人間ってどんなものなのか?」っていうのをキャラクターに問いかけながら描いていて、いろんなキャラクターが「俺ってこういうキャラですよ」っていう答えを出している作品だと思うんです。ですから、シリーズを通して「これが正解です」というものがあるわけではなく、受け手によって全ての答えが変わってくる作品だと感じているんですが、その点はもう十分上手く描いているんではないかと思います。
――なるほど。武井先生は常々、「マンガはキャラだ」という話をしていましたが、きちんと人生を持たせるのはその最たるものですね。ところで先生、そのキャラたちのなかではハオがとても人気があるんですが、それについてはどう思われますか?
武井 ハオは自分にとってだいぶ正直なキャラに当たるかな……うん、一番正直なことを言ってると思う。今、さまざまなキャラがいるっていう話だったけど、本質的には自分の分身だから全部一緒。でもそのなかでハオはそういう存在です。
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『SHAMAN KING』に登場するキャラクターのなかで、多くのファンが愛してやまないのが、ラスボスとして序盤から登場する「ハオ」です。武井先生にとってハオは、「一番正直なことを言っている」キャラクターだということですが、それはどういうことなのか? ハオに込められた武井先生の想いや感情はどのような形で描かれたのか? 次回の記事では、武井先生自身の言葉から、ひと筋縄ではいかないラスボス「ハオ」の成り立ちを解き明かし、『SHAMAN KING』のさまざまな要素を深掘りしていきます。
※誕生25周年を迎えた『SHAMAN KING(シャーマンキング)』の観光キャンペーン「メラ旅 in 神々の国 出雲」が、7月20日(木)から8月31日(木)まで、主人公「麻倉葉」の故郷である島根県出雲市にて開催中。作中に登場した場所や市内の観光名所などを巡るスタンプラリーや、描き下ろしイラストによるコラボグッズの販売、地元飲食店などによるコラボフードやドリンクの提供、アニメ『SHAMAN KING』のセル画などを展示する設定資料展が開催されるほか、これらを巡る大阪発の高速バスツアーも実施されます。
詳細はイベントの紹介記事(https://magmix.jp/post/172645)と公式サイト(https://izumo-meratabi.com/goods.html)をご確認下さい。
(タシロハヤト)





