『北斗の拳』やるべきことを最後まで全う! 「死兆星」を見た戦士たちの生き様
人気マンガ『北斗の拳』に登場する代表的な設定のひとつに、見た者の死を予告する「死兆星」があります。北斗七星のそばに輝く死兆星を、実際に探した記憶がある人も少なくないでしょう。本記事では死兆星を見た登場人物が。どのように命と向き合ったか紹介します。
死を告げる星が頭上に現れた者たちの運命とは?
2023年に連載開始40周年を迎えたマンガ『北斗の拳』は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されていた人気作品です。北斗神拳伝承者・ケンシロウが愛と哀しみを背負い戦う姿が描かれており、先日アニメ新シリーズ『北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-』の制作も発表されました。
そんな本作の哀しみを描く設定のひとつに、見た者に死を告げる「死兆星」があります。作中で死兆星を見た登場人物は、どのような生き様を見せたのでしょうか。
壮絶な生き様、死に様を見せて人気を博したのが、南斗水鳥拳伝承者のレイです。マミヤの村がラオウ率いる拳王軍に襲われた際、レイはラオウに戦いを挑みます。レイに対峙したラオウは、レイに対して北斗七星の横にある星(死兆星)を見たことがあるのかと問いかけました。ラオウは見たことがあると答えたレイを、自分と戦う資格があると判断します。戦いの結果、ラオウに全身から血が吹き出して死に至る秘孔「新血愁」を突かれ、レイは余命3日の状態になりました。
そんなレイは死までの時間を、彼が愛した女・マミヤに捧げます。マミヤの両親の仇であるユダを倒して、マミヤを過去の因縁から解放しようと立ち上がったのです。そんなレイに、ユダはマミヤもまた死兆星を見ていたと伝えましたが、それでもレイの気持ちは折れません。むしろ、マミヤの哀しい人生に寄り添い、マミヤのために命を捨てることを決意するのでした。
ユダを撃破したレイは、全身から血が出始めながら、ケンシロウやマミヤたちに別れを告げ、天に還っていきます。さらにレイの奮闘が報われ、マミヤは死兆星が見えなくなりました。その後、マミヤはレイの墓を守りながら命を長らえ、ケンシロウたちを支援し続けます。
北斗4兄弟の次男・トキも死兆星を見た男です。核戦争勃発時に「死の灰」を浴びてから病がちになり、北斗神拳伝承者の道を断念したトキは、病人たちを救うために医学の道に進んでいました。その後、幽閉されていたカサンドラからケンシロウたちに救出された際、トキが死兆星を目にしているシーンが描かれています。スピンオフの『銀の聖者 北斗の拳 トキ外伝』では、核戦争前から死兆星を見ていたことが語られました。
病のトキは弟・ケンシロウを支援しながら、兄・ラオウの暴走を止めようと彼の前に立ちはだかります。ラオウと直接対決した際には、相手の頭上に死兆星を輝かせるほど追い詰めるシーンもありました。ただ、さすがのトキも病には勝てず、実力を発揮できないままラオウに敗北してしまいます。
ラオウとの対戦を終え、余生を送っていたトキは、ケンシロウの力を試すリュウガに襲われて、抵抗できずに重傷を負います。そしてケンシロウに敗れたリュウガの死を確認したのち、息を引き取るのでした。
そして、トキとの戦いで死兆星を見たラオウは、「己の道」を邁進します。拳王軍を復活させ、ユリアが率いる南斗の軍と激突しました。かつて愛したユリアを自らの手中に収めようと彼女を追い求め、彼女を守護する南斗五車星を撃破しました。その後、互いに北斗神拳の究極奥義「無想転生」を纏ったケンシロウとの戦いで、強烈な一撃を受けて敗北します。ラオウの最後のセリフ「我が生涯に一片の悔いなし」は、命の火が消えるその時まで思うがまま生きた彼の人生を示しているように感じます。
3人の戦士たちは、死兆星を見て自分の死の期限が告げられたにもかかわらず、悲嘆にくれる姿は見せませんでした。むしろ、最後まで濃密に自分の生き方を追求する姿を見せてくれたようにも感じます。連載開始から40年が経過し、レイたちよりも年上になった読者も彼らの生き様から学べることがあるかもしれません。
(LUIS FIELD)