え…「初回から?」「原作者自ら」 アニオリ、改変が賞賛された人気アニメ
マンガ作品のアニメ改変は、原作ファンにとってワクワクしたり複雑な気持ちになったり、人によって感想はさまざまかもしれません。しかし、アニメならではの演出で視聴者を魅了し、原作がヒットすることもあります。今回は、アニメの改変やオリジナルストーリーで成功を収めた作品を振り返りましょう。
原作者やスタッフも力を入れたアニオリ展開

アニメ化の際の原作の大きな改変には賛否両論あるものの、音声や映像だからこそ伝わる魅力もあります。今回は、いろんな改変で成功を収めた作品を振り返ります。
●『銀魂』
空知英秋先生によるマンガが原作の『銀魂』は、天人(異星人)の来襲により変化した江戸を舞台に、何でも屋「万事屋」を営む侍の坂田銀時とその仲間たちの生き様を描くSF人情コメディです。
シリアスな戦闘シーンもありながら、人気アニメや実在する芸能人のパロディや社会風刺、下ネタ含むきわどいギャグ要素などの自由な作風が特徴でした。そんな同作は2006年にTVアニメ放送が開始した際に、初回からアニメオリジナルの物語でスタートを切ります。
原作は万事屋の仲間となる志村新八と銀時の出会いから始まりますが、それがアニメで描かれるのは第3話です。第1話、2話(「てめーらァァァ!!それでも銀魂ついてんのかァァァ!」の前後編)は、新八を含めて後に登場するキャラがすでになじみの人物として登場してドタバタを繰り広げ、型にはまらない『銀魂』らしい放送のはじまりを見せています。
しかし原作ファンの期待を裏切ることなく、「声優もマッチしていて最高」「なんでもありな感じが『銀魂』らしくて攻めていて好き」といった声があがっていました。
ほかにも、数多くの人気のオリジナルエピソードがあり、「アニオリ回はスタッフの気合いも悪ノリもあって好き」「1話まるまるアニオリでもがっかりすることがない」「エヴァ最終回パロディはマジ笑った」と評価されています。
●『進撃の巨人』
諫山創先生によるマンガ『進撃の巨人』のアニメ化も好評の作品です。人類を脅かす存在「巨人」に、主人公エレン・イェーガーや調査兵団の仲間たちが立ち向かい、死闘を繰り広げる本作は2013年にTVアニメが放送されました。アニメならではの躍動感や臨場感あるアクションシーンが繰り広げられて評判を呼んだ同作では、演出で改変が加えられた部分に関して諫山先生が自身のブログで意図を語るなど、作者自身も制作に注力する様子がうかがえました。
なかでも2023年11月放送の「完結編(後編)」の終盤で、エレンの幼馴染アルミンがエレンにいったセリフは、ファンにとっても印象的でしょう。原作では、超大型巨人が人類の8割を踏み潰す「地鳴らし」による大量殺戮を行ったエレンに、アルミンが「ありがとう 僕達のために… 殺戮者になってくれて…」と感謝を伝える形で完結しました。
アニメでは、アルミンがエレンの罪をともに背負い「これは僕たちがやったことだ。だから、これからはずっと一緒だね」「先に待ってる…地獄で」と、再会を約束するセリフに改変されています。
そのほかにもいくつかの改変があった、エレンとアルミンの最後の会話は話題となりました。公式HPで発表された諫山先生の「完結編(後編)」の放送直前コメントでは、自身の希望でラストを改変したことをコメントしています。ファンの間では「原作完結後も作者が向き合い続けていることが嬉しい」と反響を呼びました。
●『けいおん!』
『けいおん!』は、かきふらい先生による4コママンガが原作のアニメで、女子高生のバンド活動やゆるやかな日常が描かれる学園コメディです。4コママンガがもととなっているため、2009年に放送されたアニメではオリジナル場面が多くなっていましたが、原作を活かしたゆるい空気感や、主人公・平沢唯をはじめ表情豊かで個性的なそれぞれのキャラの魅力が注目されました。
そして日常系アニメやガールズバンドブームの火付け役となり、2011年には映画化もされています。キャラの表情や手足のしぐさなどセリフ以外から伝わる心理描写や、美しい風景に逆光までも細かく描写された圧倒的な作画も評価され、制作担当の京都アニメーションの知名度もさらに上がることになりました。
さらに、作中のバンドメンバー「放課後ティータイム」が歌うOP曲の「GO! GO! MANIAC」とED曲の「Listen!!」は、オリコンチャートで1位2位を独占しています。アニメのキャラクター名義のシングルが首位を獲得したのはこれが初めてで、社会的ブームともいえるヒットを見せます。
ネット上では、「こんなにゆるいのに楽しめる作品はほかにない」「原作が4コママンガと分かったときは驚いた」などと評価されました。
(LUIS FIELD)