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『SHIROBAKO』放送で志望者が増えた! アニメの業界描写はどこまでリアル?【この業界の片隅で】

声優の「瞬発力」に通じる、ライターの「修正対応力」

ディーゼルさんこと今井みどり 画像は『SHIROBAKO』 DVD5(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)
ディーゼルさんこと今井みどり 画像は『SHIROBAKO』 DVD5(ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント)

 ペラというのは、200字詰めの原稿用紙のこと。作品内容によってかなり差異はありますが、いわゆる30分アニメであれば、ペラ80枚くらいが1話分の目安でしょうか。この80枚をメインスタッフが読み込み、ああでもないこうでもないと議論するのがシナリオ会議、いわゆる本読みです。

 もちろん、本読みは一度では終わることなく、第2稿、第3稿と、改稿する度に行われます。「ここをこう修正して欲しい」という指示や要望の出ない本読みは、極めて特殊な場合でない限り存在しません。指示や要望がろくに出なかったり、抽象的な感想の述べ合いに終始したりする本読みは、意味のある会議ではないと言い切ってしまって構わないでしょう。

 意外に思われる方もいるかもしれませんが、脚本の内容の検討は通常、感性ではなく論理性と客観性に沿って行われます。その文脈から、脚本の教則本には、「シナリオライターの仕事には文系的な人間より理系的な人間の方が向いている」と、断言しているものさえあるほどです。作劇論は紀元前の昔からあるもので、ドラマにおける論理性と客観性とは何かというのは、とてもひと言で表現できるものではありません。ですので、そういうものなのかと、ぼんやりとだけでも理解していただければと思います。

 ドラマを論理性と客観性に沿って扱うにあたって、まず必要になるのは「物語の構造を充分に把握していること」です。物語の構造自体は、長い話だろうが短い話だろうが、基本的には変わりません。また、構造の把握には、ある程度の本数のお話を自分で書いた経験が物を言います。「ペラ5枚で書いてきて」が、みどりにとってどれだけ有効なトレーニングか、お分かりいただけるかと思います。

『SHIROBAKO』には、絵コンテに行き詰まった木下誠一監督(CV: 檜山修之)が、物語の新たな結末を見出すために、舞茸しめじと言葉のキャッチボールをする場面があります。この描写も、とても理にかなっています。優れたライターほど、うまい声優の「瞬発力」にも通じる「修正対応力」を、打ち合わせの席上でも発揮することができるはずだからです。あのやり取りこそ、舞茸しめじの能力の証とも言うべきものでしょう。

 2月29日から公開される劇場版で、みどりがどこまで成長しているか、とても楽しみです。ディーゼルさん、いいシナリオが書けましたか?

(おふとん犬)

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