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今更だけど『ドラゴンボールZ』の引き延ばしすごかったな… 「1ページを5分に」した驚き

1ページが5分に?

『ドラゴンボールZ』17巻(ポニーキャニオン) (C)バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
『ドラゴンボールZ』17巻(ポニーキャニオン) (C)バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション

 アニメ『ドラゴンボールZ』では、原作の第320話「消え去るナメック星と希望」から第327話「ナメック星消ゆ」までのエピソードが、10話にわたって放送されました。原作7話分を10話にすると聞くと、それほど引き伸ばしたように感じないかもしれませんが、このパートはほとんどすべてが悟空とフリーザのバトルパートです。

 悟空がフリーザを殴り飛ばすシーンや、フリーザが自分の放った気のカッターで切断されるシーンは1ページ1コマのド迫力演出が光ります。つまり7話といっても大コマが多いせいで展開自体はシンプルなのです。

 そこでアニメでは頻繁に場面が転換し、そのたびにギュインギュインとオーラが燃え盛り、ズゴゴゴゴと大気を震撼させるシーンが描かれました。実際に確認してみましたが、1回につき大体20から30秒ほどの長さです。

 またシーンが転換したときには「引き」の状態からキャラクターに寄っていくため、会話やバトルが始まるまで間があります。しかも話を切り出す前に半透明で再生された過去シーンがキャラクターに重なるなどして、なかなか話が進みません。視聴者がもっとも違和感を覚えた演出だといえるでしょう。

 この「尺稼ぎ」演出は、フリーザが「ナメック星」に「エネルギー玉(デスボール)」を打ち込んでから、崩壊しつつあるナメック星が描写されるようになったことで、さらに強化されます。気を練りながら対峙するシーンに加えて、マグマが荒れ狂い、暴風が吹き荒れ、水が竜巻になって大気に巻き上げられる様子までもが場面転換に加わったのです。

 また各種オリジナル演出も目立ちます。例えばマンガでは崩壊寸前のナメック星から脱出するため、「悟飯」が「ブルマ」を担いで宇宙船に移動するシーンが1ページで描かれていました。崩落する岩石に押しつぶされそうになったところをギリギリで助けられたブルマは、悟飯に抱えられながら「なにやってたのよ あんたたちは! 不安でたいくつで もうしょうがなかったじゃないの!」と不満をこぼします。

 しかしアニメのブルマは崩壊するナメック星の環境に翻弄されていました。「こんなところで死にたくない!」と叫びながら強風に吹き飛ばされそうになって岩にかじりつくなど、悟飯の到着までかなりの極限状況を強いられます。

 またフリーザの状態をモニターしていたフリーザ軍の基地では、フリーザに匹敵する強者(悟空)の出現に不満分子が登場して射殺されたり、戦闘力をモニターする機械が暴走して大爆発を起こしたりするトラブルが発生しました。ちなみに悟空とフリーザの決戦中にも関わらず、およそ7分もこの展開が描かれます。

●制作スタッフの苦悩

 こうして振り返ると、さまざまな大人の事情や当時の制作状況の厳しさが伺え、無理を承知で演出している様子が目に浮かびます。もしも当時SNSが存在すれば、単に低クオリティだと批判されるよりも、このような内容を放送せざるをえない制作側の事情のほうが大きな話題になっていたかもしれません。

 そして『ドラゴンボール』の例があったからこそ、現在のアニメは露骨な「尺稼ぎ」演出がめったに見られないのでしょう。今に至るアニメのクオリティ維持のため、一度は通過しなくてはならない「試練」の時期だったのかもしれません。

(レトロ@長谷部 耕平)

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