『逆襲のシャア』風船みたいな囮って実際役に立つの? ←立ちますコスパ抜群です!
実際の戦場におけるとんでもない成果!

純粋なバルーンデコイは映像センサーしか騙(だま)すことはできず、赤外線やレーダーには効果がありません。しかし電熱ヒーターを用いることで赤外線センサーを騙すものや、電波反射板を取り付けレーダーに対する擬態も可能なものも存在します。騙す方と、見破ろうとする方の攻防はこれからも続いていくに違いありません。
バルーンデコイが効果を上げた興味深い事例としては、1991年の湾岸戦争が挙げられます。イラク軍は「スカッド」地対地ミサイルによる周辺国への無差別攻撃を行いました。それに対抗するためアメリカを筆頭とする多国籍軍は、当時の最新鋭機であるF-15E「ストライクイーグル」を投入し「スカッドハンティング」を実施します。
スカッドハンティングは順調に行われたように思われました。ところが戦後、調査してみると、航空攻撃によって撃破したと報告されたスカッドの多くは、実際にはバルーンデコイであったことが判明します。当時のF-15Eは画像センサーで対象を確認でき、誘導兵器によって精密爆撃が可能な数少ないハイテク戦闘機でした。そのF-15Eが古典的な方法によって無力化されていたのです。
湾岸戦争から30年が経過しましたが依然としてバルーンデコイは有効であり、2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻戦争においても多用されています。HIMARS地対地ミサイルなどを模したバルーンデコイが精密爆撃で破壊される映像がネットに流れており、確認することができます。
バルーンデコイはシンプルである分、民間産業でも簡単に生産することができますし、価格もせいぜい数十万円です。1発1億円の巡航ミサイルを消費させられ、数十億円の兵器の身代わりとなるのですから、コストパフォーマンス抜群の兵器であるといえるでしょう。
(関賢太郎)


