存在しなかった「来週」 僕らのヒーロー『ガンバロン』打ち切られた悲劇の作品
1977年4月3日、特撮TVドラマ『小さなスーパーマン ガンバロン』の放送が開始されました。等身大の特撮ヒーローが搭乗するロボットとしては、本作の「ダイバロン」が日本の特撮番組では最初の存在です。
存在しなかった「来週」
1977年4月3日、特撮TVドラマ『小さなスーパーマン ガンバロン』(以下、ガンバロン)の放送が開始されました。等身大の変身ヒーローが巨大ロボットに乗って戦った最初の作品であり、『ウルトラマン』でハヤタ隊員を演じた黒部進氏や名バイプレイヤー天本英世氏ら豪華な役者陣が顔をそろえていましたが、スポンサー倒産のため32話で打ち切られた悲劇の作品でもあります。幼少時、楽しみにしていた『ガンバロン』が急に放送されなくなり、泣いた記憶があるライターの早川清一朗さんが想いを語ります。
* * *
「来週もまた面白いから見てよ、ガンバローン!」
これが幼い頃の筆者が見た、最後のガンバロンの記憶です。当時、幼稚園児くらいだったはずの筆者は、地方局で再放送されていた『ガンバロン』を毎週楽しみにしていました。当然、次の週もワクワクしながらTVの前に陣取っていたのですが、『ガンバロン』が放送されることはありませんでした。母親に「『ガンバロン』やってない! 来週も見てよって言ってたのに!」と泣いて訴えていた記憶があります。
『ガンバロン』が突然消えた理由を知ったのは、それから20年以上経ってから。スポンサーだったおもちゃメーカー「ブルマァク」の倒産により、制作資金が滞ったためでした。
なぜ『ガンバロン』は子供の頃の自分をそんなに夢中にさせたのか。その理由を今、改めて考えてみると、徹底的に子供が主体となっている作品だからではないかと思い当たりました。『ガンバロン』の主人公、天道輝はまだ小学生で、当時の筆者からすれば近所のお兄さんくらいの感覚です。お兄ちゃんがヒーローに変身し、トブーン、バクシーン、ヒライダーの3機のマシンを自在に操り町を荒らす悪い怪人と戦っているのです。子供が感情移入するのも当然だったのではないでしょうか。
さらに『ガンバロン』は中盤以降、トブーン、バクシーン、ヒライダーが合体した巨大ロボット「ダイバロン」で怪獣相手に奮闘。これは滅茶苦茶格好良かったという記憶があります。当時、巨大ロボット自体は珍しいものではありませんでしたが、等身大の特撮ヒーローが搭乗するロボットとしては、ダイバロンが日本の特撮番組では最初の存在となっているのだそうです。