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ウルトラマンは一度も「シュワッチ」と言ってない? 独特過ぎる「かけ声」が誕生したワケ

「声」を担当したのは誰?

「初代ウルトラマン55周年記念 2021年カレンダー」(TRY-X)
「初代ウルトラマン55周年記念 2021年カレンダー」(TRY-X)

 ところで、この声を担当したのはどなただったのでしょうか。例えばウルトラマンの「中の人」であった古谷敏さんかといえば、違います。「シュワッチ」の声の主は中曽根雅夫さんという俳優でした。低くドスの利いた声が特徴で、飯島敏宏監督の作品の常連でした。

 飯島監督は、録音の際に中曽根さんに機材を入れたグランドピアノのなかに頭を入れて叫ぶよう指示していたという証言も残っています。あの独特のエコーは、こうした工夫によって生み出されていたのでした。TV特撮黎明期における泥臭くも美しい風景です。

 さて「シュワッチ」の主である中曽根雅夫さんはその後、不遇の時代を経て俳優の仕事を廃業。職を転々とされたのち、1993年にご自宅アパートにて亡くなられたのでした。誰もが知るあの声を担当された人であるのに、あまりにも寂しい最期ではなかったでしょうか。

 話は「シュワッチ」に戻ります。『ウルトラマン』のなかで一度も「シュワッチ」と言っていないのであれば、どうしてこんなにも世に浸透しているのでしょうか。

『ウルトラマン』の「シュワッチ」を活字で最初に表現した人として有力とされるのが、漫画家の赤塚不二夫先生です。1967年4月9日発行号「少年マガジン」に掲載された『天才バカボン』にて、バカボンのパパが腕をクロスさせて「シュワッチ」と叫ぶコマがあります。多くの読者が「シュワッチ」という活字表現に目を触れたことになり、「シュワッチ」という言葉が浸透したきっかけであることは間違いなさそうです。

 なお、『ウルトラマンはなぜシュワッチ!と叫ぶのか?』では、初めて「シュワッチ」が活字にされた作品として、1968年に「少年ジャンプ」に掲載された『ウルトラセブン』のパロディマンガ『ウスラセブン』(作:永井豪)を挙げていますが、のちに著者の河崎実さんはこれを訂正しています。

 ここまで「シュワッチ」の関する疑問を紐解いてきました。私たちの知るウルトラマンの声の主が不遇の生涯を送ったという事実は、胸にずしりときます。この事実と向き合わせてくれた河崎実さん、そして著書に改めて感謝と敬意を表します。

(片野)

※本文の一部を修正しました。(2024.10.9 15:00)

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