筒井康隆作品『富豪刑事』アニメ化 映像化された人気作は他にも【3選】
ぶっ飛んだSF小説から、切れ味鋭いショートショート、泣かせるジュブナイルものまで、多くの人が作家・筒井康隆氏の作品に夢中になった体験を持っているのではないでしょうか。TVアニメーション『富豪刑事 Balance:UNLIMTED』(フジテレビ系)の放映を控え、映像化された筒井作品の人気作を振り返ります。
牛乳とアンパンが最も似合わない刑事
人気作家・筒井康隆氏の推理小説『富豪刑事』が、『富豪刑事 Balance:UNLIMTED』としてTVアニメーション化されます。2020年4月9日(木)24時55分より、フジテレビ系「ノイタミナ」でのスタートです。同じく「ノイタミナ」でオンエアされた『僕だけがいない街』が話題を呼んだ伊藤智彦監督が起用されています。
大富豪の家に生まれた刑事が、お金を湯水のように使って難事件の数々を解明していくというコミカルなミステリーものです。2005年には女優の深田恭子さん主演ドラマ『富豪刑事』として、テレビ朝日系で実写化もされました。容疑者を誘き出すために、わざわざ新しい会社を設立するなど、世間ばなれした主人公像に深キョンはなかなかハマっていました。筒井氏も深キョンと同じホリプロ所属ということで、レギュラー出演していました。2006年には続編『富豪刑事デラックス』も放映されています。
今回のアニメ版『富豪刑事』は、富豪刑事・神戸大助(CV:大貫勇輔)と原作には登場しなかった熱血刑事・加藤春(CV:宮野真守)とのバディものになるようです。深田恭子版『富豪刑事』も、原作は男性刑事だったのが女性刑事に脚色されています。自身の小説の映像化に関しては、筒井氏はかなり寛容なことが知られています。そんな筒井作品のなかから、映像化された人気作を紹介したいと思います。
歴代アイドル女優が主演した青春ストーリー
映像化された筒井作品で誰もが真っ先に思い浮かぶのは、ほろ苦いSF青春ストーリー『時をかける少女』でしょう。1967年にジュブナイル小説として発表された作品で、近年もブームが続く「タイムリープもの」の先駆作です。1972年にNHK総合の人気番組「少年ドラマシリーズ」の第1作『タイムトラベラー』として実写ドラマ化されて以降、原田知世主演映画『時をかける少女』(1983年)のほか、南野陽子版(1985年)、内田有紀版(1994年)、安倍なつみ版(2002年)、黒島結菜版(2016年)といったアイドル系女優たちが主演したTVドラマが制作されています。
映像化された数ある『時をかける少女』のなかでも、ひときわ印象に残ったのは細田守監督による劇場アニメーション『時をかける少女』(2006年)ではないでしょうか。原作の主人公である芳山和子の姪・真琴(CV:仲里依紗)が活躍するオリジナルストーリーとなっていました。ごく平凡な高校生・真琴はタイムリープ能力を手に入れることで、逆に何も起きない平凡な日常を過ごすことの喜びを噛み締めることになります。
アニメ版『時をかける少女』は興行的には大成功とは言えませんでしたが、筒井氏から大絶賛され、細田監督は次作『サマーウォーズ』(2009年)へと大跳躍してみせることになります。また、はつらつとした声優ぶりを披露した仲里依紗さんは、実写映画版『時をかける少女』(2010年)にも主演。この時に共演した中尾明慶さんと、2013年に結婚することになります。