居候アニメの傑作『ハクション大魔王』 視聴者が号泣した伝説の最終回とは?
小さな壺からオッサンの魔法使いが飛び出す、往年のギャグアニメ『ハクション大魔王』。お人好しな魔王と娘のアクビちゃん、魔王たちを居候させているカンちゃん一家との愉快な交流が描かれました。新作『ハクション大魔王2020』の放送を前に、視聴者の涙を誘ったオリジナル版の最終回を振り返ります。
洗練されたデザインで人気を集めた「タツノコプロ」

「呼ばれて飛び出て、ジャジャジャジャ~ン!」懐かしいギャグアニメが帰ってきました。1969年~70年にテレビ放映された『ハクション大魔王』が、現代を舞台にした『ハクション大魔王2020』(読売テレビ・日本テレビ系)となって再登場します。第1回は2020年4月11日(土)17時30分からのスタートです。おなじみのセリフやキャラクターは覚えていても、内容はすっかり忘れてしまった人、初めて観る人も多いと思います。暑苦しいキャラだったけど、どこか憎めない存在だった『ハクション大魔王』を振り返ってみましょう。
新作もオリジナル版も『ハクション大魔王』は、老舗のアニメーションプロダクション「タツノコプロ」の作品です。「タツノコプロ」は漫画家の吉田竜夫氏が、弟の吉田健二氏、九里一平氏らと共に1962年に設立したプロダクションです。1967年にフジテレビ系で放映された『マッハGoGoGo』や1972年から始まった『科学忍者隊ガッチャマン』など、洗練されたデザインがとても印象的でした。
また、「タツノコプロ」からは、人気ゲーム『ファイナルファンタジー』のキャラクターデザインを手掛けた天野喜孝氏、『機動戦士ガンダム』のメカデザイナー・大河原邦男氏、『うる星やつら』でブレイクする押井守監督といった鬼才たちが飛び出しています。
主人公は半裸のオッサン
アメコミっぽい絵柄のアニメーションで人気を集めた「タツノコプロ」ですが、『ハクション大魔王』はかなりテイストの変わったドタバタ系コメディでした。後に『タイムボカン』『ヤッターマン』などの大ヒットコメディを飛ばすことになる笹川ひろし監督の初期代表作が、『ハクション大魔王』だったのです。
主人公である魔王は、半裸姿のヒゲのオッサンです。魔法が使えなければ、ただの不審者です。不思議な壺を見つけた小学生のカンちゃんがクシャミをすると魔王は現れ、もう一度クシャミをすると壺のなかへと戻ります。カンちゃんは魔法の使える魔王にお願いごとをしますが、いつも魔王はトラブルを招き、カンちゃんは悲惨な状況に巻き込まれることになるのです。
魔王はハンバーグが好物で、大量のハンバーグをまるで飲み物のように飲み干してしまいます。魔王がハンバーグ好きという設定になったのは、番組スポンサーが「マルシンハンバーグ」で知られる「マルシンフーズ」だったからだという説があります。新番組『ハクション大魔王2020』のスポンサーがどこなのかも、ちょっと気になるところです。
壺のなかに戻っていないときの魔王は、カンちゃんの家の屋根裏部屋で居候生活を送っていました。1964年には藤子不二雄氏原作の『オバケのQ太郎』がTBS系でTVアニメ化され、大人気を博しました。1973年からは日本テレビ系で『ドラえもん』もTVアニメ化されることになります。風変わりな同居人との共同生活を描いた「居候アニメ」が、広く親しまれていた時代でした。