作品に罪はないのに… アニメ制作決定も即中止←ファン“落胆”の幻と化したアニメ4選
マンガのアニメ化が決定すると、近年は製作委員会が出来るので、よほどのことがない限り頓挫・中止はありません。ただし、メインスポンサーが経営悪化、ましてや倒産なんかするとほぼアウトになります。
モラルや違反……アニメ化中止の理由

2025年も、人気マンガの「アニメ化決定!」といううれしいニュースがたくさん飛び込んできています。ところが、ファンを喜ばせておきながら、まさかの「中止」という残念なケースがまれにありました。特に映画化やOVA化では、資金繰りに関係したトラブルで頓挫するケースが過去には多く見られます。
そこで、ここでは、何らかのトラブルで「TVアニメ化が決定したのに中止になった残念な作品」をご紹介しようと思います。
●模倣発覚……『東京BABYLON 2021』(2021年中止)
マンガ『東京BABYLON』は「CLAMP」先生の初期作品で、1990?93年までマンガ誌「サウス」(新書館)、「月刊ウィングス」(新書館)で連載されました。内容は陰陽師一族の若き当主を中心に、怪奇現象や霊的な事件、トラブルを解決する怪奇ファンタジーです。物語には、自殺やいじめ、新興宗教といったシリアスなテーマを絡めた社会派作品として人気でした。
2度のOVA化、実写ドラマ化もされていましたが、2020年11月19日には翌年4月スタートのアニメ化決定が発表され、ファンは沸きました。
ところが発表の翌日、Webサイトに公表されたキャラクターの衣装デザインが、韓国の某アイドルグループのものに似ていると指摘されて騒動となり、アニメ制作会社も模倣を認めました。それ以降、次々に模倣盗用が発覚したことから、製作委員会は何度も協議した末に放送中止を決定、3月にはプロジェクトも解散となりました。
声優とエンディング曲に水樹奈々さんの起用が決まっていたため、がっかりしたファンは多かったようです。比較的最近の出来事なので記憶に新しい人も多いでしょう。
●デリケートな部分に触れたせいで……『二度目の人生を異世界で』(2018年中止)
2014年「小説家になろう」のオンライン小説から人気になり、メディアミックス化されて2018年5月にアニメ化の決定がニュースになります。放送は10月からでした。
作品の内容は、94歳で死んだ剣術家が異世界で生まれ変わり、再び活躍するファンタジーです。騒動のはじまりは、この主人公が異世界に来る前、中国大陸で従軍し3千人以上を虐殺した兵士という設定でした。これが中国のメディアで問題視されます。
さらに5月下旬には、原作者「まいん」氏が作家になる前、X(旧:Twitter)で中国・韓国へのヘイトスピーチを幾度も投稿していたことが公になります。まいん氏は謝罪し、「小説家になろう」連載ページの公開停止、書籍の内容について修正を打診している、と公にしましたが騒動は収まりません。結局、小説版18巻の出荷停止が決定し、6月6日にはアニメ出演が内定していた声優4人が降板を表明、TVアニメも製作中止となりました。
アニメ化決定から約ひと月というスピード中止。しかも海外からの批判が集まるとは、デリケートな社会的問題に対する認識が甘かったと感じます。ただ、小説の出版停止については「表現の自由を奪っている」という声があがるなど物議を醸しました。