『帰ってきたウルトラマン』謎の歌声「ワンダバダバダバ」とは何だったのか? 後世に大きな影響も
3回噛まずに歌ってみてください。「ワンダバダバダバダンダバダバダバダンダバダバダバダン…」この印象に残るコーラスは、『帰ってきたウルトラマン』のなかで繰り返し流れ、やがて他の作品にも広がっていったのです。
現場のリクエストに応える形で生み出された?

音楽の用語に『ワンダバ』という呼称があることをご存じでしょうか? これは、1971年放送『帰ってきたウルトラマン』(以下、『帰マン』)で流れた「♪ワンダバダバダ……」と繰り返しコーラスするBGMが起源です。
その後、「ウルトラマンシリーズ」でオリジナルの『ワンダバ』が作られ続け、いつしかコアなジャンルになりました。『ワンダバ』は、歌というより「スキャット」という「声を楽器」とした音楽です。
『帰マン』で流れた曲は、『M-3 MATのテーマ/男性ワンダバ』と命名されています。主にMAT隊員が基地から出撃するときや攻撃中に流れました。男声コーラスがひたすら「♪ワンダバダバ ダンダバダバ……」と綴るBGMで、勇者の孤高な心情を表現したような曲です。かなり独特な音楽だったのでインパクトは強烈でした。
作曲は「ウルトラ音楽の父」こと「冬木透」先生(※2024年12月26日、永眠)です。『ワンダバ』を作るきっかけは、自身が作曲した『ウルトラセブン』の挿入歌『ULTRA SEVEN』の歌詞にある、「ワン、ツー、スリー、フォー」の「ワン」でした。新番組となる『帰マン』の挿入歌を作る際、円谷一社長から「セブンのワン、ツーのような曲を作ってほしい」とリクエストされ、冒頭の「ワン!」がかっこいいとスタッフから好評だったのを受けて、「ワン……ダバダバ」というスキャットを考えつきました。この曲を円谷社長は大変気に入ってくれたそうです。(※ちなみに『ULTRA SEVEN』の作詞「東京一」は「円谷一」社長)
続く『ウルトラマンA』でも『ワンダバ』をリクエストされ、作った『TACのテーマ』は、疾走感のある演奏に『ワンダバ』コーラスを乗せました。さらに、コミカルな歌詞の合間に「ワンダバダバダバ」とコーラスする『TACのワンダバ一週間』(※TV未使用)という曲も作られています。
『ウルトラマンタロウ』では、マーチ調で女性の声も入った『ダーダバ』を作るなど、ファンのあいだでも『ワンダバ』は人気の曲となります。
冬木先生は、1作品につき50曲以上の挿入歌を作成していました。50年以上続く「ウルトラシリーズ」で、少なくとも15曲以上の『ワンダバ』がテレビで使用されていますが、テレビ未使用の曲を含めるとまだまだあるようです。冬木先生はあるインタビューで、「テーマ音楽が定着して良かったけど、前と同じことはできないので、先に行けば行くほど難産でした」と話しています。
『ワンダバ』は、「ウルトラマンシリーズ」の枠をはみ出て、『ミラーマン』で「シャバダバ」、『ジャンボーグA』で「ズビズバ」など、アレンジされた曲が他作品へと派生しています。映画『宇宙戦艦ヤマト2199』、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』でも作られています。



