『スケバン刑事』の和田慎二先生 急逝から14年 惜しまれる『傀儡師リン』などの未完作
クライマックス直前に終わった『傀儡師リン』

多彩なジャンルの作品を発表した和田慎二氏ですが、その一方、未完で終わった作品が多いことでも知られています。「ミステリーボニータ」(秋田書店)で2006年から連載された『傀儡師リン』もそのひとつです。
人形を操る「傀儡師」の家に生まれた鹿嶋リンは、祖父と姉を殺され、留学先のドイツから帰国。祖父が残した10体の人形を取り戻すために、ドールバトルを始めるという異色ファンタジーです。人形たちはそれぞれ不思議な力を持ち、リンと仲間は人形たちとのパートナーシップを深めていきます。
リンがようやく10体の人形を回収し、「これから恐るべきことが起きる」という最終章の始まりが予告されたところで、和田慎二氏は虚血性心疾患で亡くなっています。リンと人形たちがどんなクライマックスを迎えるはずだったのかは、永遠の謎となっています。
一也とは最後まで結ばれないままだった『超少女明日香』
掲載誌を変えながら断続的に連載された『超少女明日香』も、未完のままとなっています。ハイスペックな超能力を持つスーパー家政婦の砂姫明日香、明日香と相思相愛の仲になっていた田添一也は、結ばれないままとなっています。そのため、『怪盗アマリリス』の劇中劇として描かれる映画『超少女明日香』を擬似的なラストと考えるファンもいるようです。
浅香唯さんが主演した実写ドラマ『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇』(フジテレビ系)の元ネタでもある『忍者飛翔』は第二部の構想があったものの、こちらも実現されないままとなりました。
和田慎二氏の代表作『スケバン刑事』は電子書籍としても楽しむことができますが、他の作品は電子書籍化されておらず、気軽に読むことが難しくなっています。2025年2月には秋田書店から『和田慎二傑作選 クマさんの四季』が刊行されていますが、傑作選シリーズもこれでひと区切りついた形です。
和田慎二氏が漫画界に残した功績は、かなり大きなものがあるように思います。いつの日か「和田慎二ユニバース」を網羅した「和田慎二全集」が刊行されることを、ファンのひとりとして願っています。
(長野辰次)




