「いつもの感じ」じゃなかった　クオリティも展開も驚かされる2025秋「異世界アニメ」たち

ありきたりな作品かと思ったら、なんか違う？

　11月も後半となり、2025年秋アニメも中盤に差しかかりました。近年は1クールに放送される作品数が非常に多く、特にお約束の展開が多い、いわゆる「異世界系」作品では、序盤の印象だけで視聴を見送ってしまうケースもあるでしょう。しかし、序盤ではありきたりに見えた作品が、中盤で評価を大きく覆すこともあります。

　今期では、サンライズが初めて「なろう系」に挑んだ『暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが』が、丁寧な作画のクオリティーもあって序盤から堅実な評価を得ています。

　物語は学校のクラスごと異世界に召喚されるという、オーソドックスな導入から始まります。主人公「織田晶（CV：大塚剛央）」には暗殺者の職業と、なぜか勇者をも上回る能力値が与えられました。

　しかし、晶は召喚した王国から騎士団長殺害の濡れ衣を着せられて逃亡することになり、その道中で出会ったエルフの少女「アメリア・ローズクォーツ（CV：水野朔）」と行動をともにするうちに、次々と騒動へ巻き込まれていきます。

　第6話では、魔族にさらわれたアメリアを救うため晶が奔走し、激しい戦闘の末に救出に成功しました。しかし、その直後に新たな強敵が姿を現し、ふたりが再び窮地に追い込まれるという息つく暇のない展開が描かれています。

　視聴者からは「作画や美術のレベルが高い」「魔族側にも複雑な事情がありそうで先が読めない」といった声があがり、物語のクオリティーと世界観の奥行きが高く評価されています。

　また『野生のラスボスが現れた！』も、一見するとよくある異世界転生ものの導入ながら、物語が進むほど予測しづらい展開へと転じていく作品です。同作は、人気ゲームをプレイしていた主人公の「俺（CV：小野賢章）」が、自分の操作キャラクターである「ルファス・マファール（CV：小清水亜美）」として異世界に転生する物語を描いています。

　作品の舞台は、ルファスが英雄たちと死闘の末に倒されてから、200年の歳月が過ぎた異世界です。ルファスとして生まれ変わった主人公は、かつてゲーム内で従えていた仲間を集めるために旅に出ます。しかし、行動の端々で主人公が知らないはずのルファス本人の記憶がよぎることもあり、単なるゲーム世界への転生ではない複雑な背景が示唆されていました。

　第7話では、幼いルファスが両親から迫害され故郷を逃げ出した過去が語られ、不平等や理不尽を打ち砕けるほど強くなることを決意するシーンも描かれています。

　視聴者からは「作品のノリは気楽に観られる感じでも、設定やらしっかり練ってるのが分かってきて、後々話の根幹に関わってきそうなタイプ」といった声も見られ、先の展開に期待が高まっているようです。

　そのほか、『味方が弱すぎて補助魔法に徹していた宮廷魔法師、追放されて最強を目指す』では、意外なキャラクターにスポットライトが当たりました。同作は、宮廷魔術師として働いていた主人公「アレク・ユグレット（CV：梅田修一朗）」が、パーティを組んでいた王太子「レグルス・ガルダナ（CV：阿部敦）」から追放され、学生時代の仲間たちと再び歩み出す冒険譚です。

　第5話では、父である国王から植え付けられていた平民軽視の思想を否定され、自らの浅はかさに気付いたレグルスが、信念を確かめるためにアレクへと戦いを挑む姿が描かれました。こういったジャンルでは、主人公を追放した相手が単純に痛い目を見るだけの展開も多いなか、レグルスが自分の過ちと真摯に向き合う描写が視聴者の心をつかんでいます。

　視聴者からは「長いタイトルで敬遠しそうになってたけど、視聴したらなかなか面白い」「追放もので追放した側なのに、印象良く見える稀有なキャラだった」など、独自展開を評価する声があがりました。