「BL作品」が「読書体験」を継承? カードを持たない若者が「メルカリ」活用してまで「紙の本」を買う理由
「紙の書籍」を欲する、意外なジャンルがある?
電子書籍には、子供が読書習慣を身に付ける機会を作ることができません。大人がスマホやタブレット、パソコンで本を読んでいても、子供には何をしているのかわかりません。動画の閲覧やゲームなどと区別が付かないからです。
そのため、読書の習慣を身に付けるには紙の書籍が重要となります。紙の書籍が勢いを失えば、「本を読む文化」そのものが後の世代に引き継がれずに失われる可能性があるのです。
2026年2月24日には、大学生が1か月に支払った「書籍費」が初めて1000円を下回ったと、全国大学生活協同組合連合会(生協)が発表しています。果たしてこれからの読書に希望はあるのでしょうか?
実は、あるジャンルで「紙の書籍」の可能性に注目が集まっています。意外にも「ボーイズラブ(BL)」作品の愛好者に、紙の書籍による読書体験が広がっていました。腐女子マーケティング研究所が2026年2月10日に発表したデータによれば、BLファンは極めて高い購買意欲を持つことが示されています。また、10代は電子書籍よりも紙の本を買う傾向が強いといいます。
これは10代がクレジットカードなどの電子決済手段を持たないことが大きな影響を与えていると思われますが、こうした趣味嗜好の強いジャンルが、結果的に若い世代に「読書体験」を継承しつつあると考えられます。日本のエンタメは世界の追随を許さないほど多様な趣味嗜好や世界観を持っているのですから、BL作品に限らず、若い世代の心をとらえ、読書体験をつないでいけるジャンルは必ずあるでしょう。
大人世代は若者の「本を読みたい」意欲を支えるべき?
ここでネックとなるのが全国的な「書店の減少」ですが、読書体験をつなぐという点で考えれば、「10代の書籍購入に使いやすい電子決済手段」を作れば、可能性は広がるでしょう。現状でも「図書カード」がありますが、カード自体の入手がひと手間なので、スマホなどで簡単に済ませられる代替手段が必要です。
なお、今回の調査中に、本が欲しい若者が「メルカリで物を売って、その売却益で本を買っている」という事例を複数見しました。現金がない場合はそうせざるを得ないのですが、メルカリは転売品が多く、人気が集中する作品などは割高での購入を余儀なくされています。
本を読みたがっている若者はいるのです。ならばその手助けをするのが、本を愛し本に育てられてきた大人たちの責任ではないでしょうか。
(早川清一朗)

