TV局がアニメ枠をさらに増やす? クリエイター不足で浮上する、冷徹な「大人の事情」
アニメも小説もコミックも「湧き出てくるものではない」
ほかにも、アニメを重要なIP、すなわち知的財産として売り出し、利益を得ようと考えている会社や個人はいくらでも存在しています。
その動き自体は日本のコンテンツ産業を栄えさせるものとして歓迎すべきものです。しかし、ひとつ理解しなければいけないのは、「クリエイターの数と力」には限りがあるということです。「枠を増やす」と口で言うのは簡単ですが、実際にはひとつ増やすだけでも100人単位のクリエイターが必要になるのです。
例えば、TV局全体でアニメを5枠増やすとします。1枠が4クール(補足:クールとは四半期の放送枠)と考えると、5枠で20クール分のアニメが必要です。近年は原作付き作品がアニメ化されることが多いため、8割が原作付きとします。つまり16クール分です。
1クール作品と2クール作品(分割含む)が半々と考えると、12本の原作が必要となる計算です。年300本以上アニメが作られている状況に、さらに上乗せされることを考えると、「従来はアニメ化の候補になり得なかった」作品が12本アニメ化されるということになります。
アニメクリエイターも、さらに必要となります。現在急速に育成が進められていますが、人手が足りていないと感じられるアニメを時々見かけます。クリエイターへの報酬面での還元も含め、課題が山積しています。
クリエイターは無限に湧き出てくる存在ではありません。そして、視聴者の可処分時間も所得も無限ではありません。視聴限界を超えたとき、視聴者の興味も出費も急停止してしまいます。そうしたリスクは、TV局であっても避けて通ることはできないのです。
(早川清一朗)






