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名作マンガ『ジャイアント台風』、ホラ話満載でも昭和プロレスのロマンが詰まっていた

2019年で没後20年を迎え、今なお多くのファンに愛されるプロレスラー、ジャイアント馬場の人生と活躍を描いたマンガが『ジャイアント台風』です。恵まれた体格を武器に、強敵ぞろいのアメリカでレスラーとしての道を切り開いていく物語は、原作者による「創作」を交えつつ、読者をプロレスの世界に引き込んでいきます。

希代のレスラーの活躍、きめ細かく描く

『ジャイアント台風』第1巻(グループ・ゼロ)
『ジャイアント台風』第1巻(グループ・ゼロ)

 1953年に『日本のプロレスの父』である力道山の手によって設立され、第二次大戦後の我が国で一大ブームを巻き起こした「日本プロレス」。まだまだ敗戦ムードが漂うなか、「空手チョップ』をふるい、外国人レスラーを痛快になぎ倒した力道山の活躍が当時の日本人に勇気と希望を与えたことは想像に難しくありません。

 その「日本プロレス」が力道山没後に第二次ブームを起こすキッカケとなった作品が、1968~1971年にかけて講談社「ぼくら」、「週刊ぼくらマガジン」、そして「少年マガジン」で連載された名作『タイガーマスク』(作:梶原一騎 画:辻なおき)と、今回で紹介する『ジャイアント台風』(作・画ともにタイガーマスクと同様、当時の作者名義は高森朝雄)ではないでしょうか?
 
 1963年12月15日に暴漢に刺された力道山が逝去し、日本プロレスは「豊登」エース時代に移行。その豊登が公金の横領などの理由で同団体を追放された後、アントニオ猪木とともに「東京プロレス」を設立し、それが崩壊した後に猪木が日本プロレスに復帰することでジャイアント馬場と伝説のタッグチーム、「B・I砲」を結成して一時代を築くのですが、当時の日本プロレス内の「格」はあくまでもジャイアント馬場が圧倒的に上。そのことは現在でも『ジャイアント台風』を読めば、まざまざと伝わるものとなっています。

 後のマンガ作品『プロレススーパースター列伝』(作:梶原一騎 画:原田久仁信)の「なつかしのB・I砲編」(1981年に週刊少年サンデーで連載)では、あくまでもアントニオ猪木がストーリーの中心となっていましたが、『タイガーマスク』と同時期に少年キング(少年画報社)で連載された『ジャイアント台風』は、いうまでもなく馬場が主役。

 しかも全12巻にわたってキメ細かく希代のレスラーであるジャイアント馬場の活躍が描かれており、アラフィフ世代の筆者にとっても自分が生まれる以前のプロレス界の流れや、当時のプロレスラーたちの怪物ぶりを深く教えてくれる内容となっています。

【画像】プロレス史、そして生き様まで教えてくれる…ジャイアント馬場の映像(5枚)

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