マグミクス | manga * anime * game

『仮面ライダー』のショッカー三大幹部。昭和の子供が熱狂した、共通の魅力とは?

「地獄大使」には、名優・萬屋錦之介も嫉妬した

●演技の「怖さ」で大きな反響、「死神博士」

ショッカー三大幹部の中でも絶大な人気を誇った「死神博士」。画像は「仮面ライダー E-CRAPHICS CARD 06死神博士&イカデビル」(バンダイ) (C)石森プロ・東映
ショッカー三大幹部の中でも絶大な人気を誇った「死神博士」。画像は「仮面ライダー E-CRAPHICS CARD 06死神博士&イカデビル」(バンダイ) (C)石森プロ・東映

 ゾル大佐の戦死を受けて登場したのが、大幹部最大のスター「死神博士」です。長身で長髪、白いスーツに黒マントという出で立ちの不気味さは、画面に映るだけで子供たちを震え上がらせました(さらに、演技の怖さは、放送局である毎日放送からもクレームが入るほどだったとか)。“怪人作りの名人”の異名を持つ天才科学者です。

 実は死神博士には、身体の弱い妹の命を永らえるために臓器移植の研究をしていたという過去があり、妹亡き後も蘇生術を探し求めていたため、その妹への愛を利用されてショッカーに導かれたのだそうです。切ない来歴の持ち主ですが、いったんショッカーに入れば冷徹無比に人類を襲います。そして死神博士自らも、もちろん改造人間。子供たちは、どんな恐ろしい正体なんだろうとワクワクしながら登場を待ちましたが……変身した姿はまさかの「イカデビル」。「なんでイカ?」と、呆然とした子供たちも多かったようです。

●人間味を感じさせた悪の幹部「地獄大使」

2018年にフィギュアーツとして復活し、往年のファンを狂喜させた「地獄大使」。画像は「BANDAI S.H.Figuarts 仮面ライダー 地獄大使」(バンダイ)
2018年にフィギュアーツとして復活し、往年のファンを狂喜させた「地獄大使」。画像は「BANDAI S.H.Figuarts 仮面ライダー 地獄大使」(バンダイ)

三大幹部の最後は、すでに容姿からも怪人を隠さない「地獄大使」。ファラオの黄金のマスクをモチーフとした派手な姿で活躍しました。とはいえ、真の姿はまた別にあり、ガラガラヘビの能力を備えた「ガラガランダ」に変身しますが、ライダーとの戦いの末爆死します。この地獄大使は死神博士とは対照的に、部下に気さくに声をかけるなどの人間味が魅力でした。

 地獄大使が活躍した当時は『仮面ライダー』人気の絶頂期。かの名優・萬屋錦之介氏は溺愛する息子が『仮面ライダー』の大ファンだったことから、地獄大使を演じていた潮健児氏に地獄大使の衣装のまま自宅に来てもらい、初めて息子に尊敬されたと語ったほどです。

 ショッカー三大幹部は三人三様ですが、共通しているのは、たとえ悪の道でも一本気でぶれない生き方です。配下の怪人が何度仮面ライダーにやられても、あきらめない心で世界征服に邁進するその姿は、子供たちの心に特別にかっこよく映ったのではないでしょうか?

※記事の一部を修正しました。

(古屋啓子)

【画像】悲しき「ショッカー」戦闘員、やられ役だがCMでは大活躍…?(7枚)

画像ギャラリー

1 2