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「ときメモファンド」覚えてる? 投資信託で開発資金調達、購入者が経験した結末とは…

完成したゲームの出来栄えは…?

『ときめきメモリアル Girl's Side』(コナミ)は女性向けの恋愛シミュレーションゲームとして、「ときメモファンド」で開発され、2002年6月に発売された
『ときめきメモリアル Girl's Side』(コナミ)は女性向けの恋愛シミュレーションゲームとして、「ときメモファンド」で開発され、2002年6月に発売された

 そんなある日、コナミからファンドについての説明会があると聞き、とにかく今の状況が知りたかった筆者は当然の如く駆けつけました。しかし会場では一般投資家は質問が禁止されており、がっかりしたことを覚えています。

 説明会の内容はよく覚えてはいませんが、会場には多くのファンド購入者が詰めかけていたことと、オープニングテーマとエンディングテーマを当時かなりの人気があった音楽ユニット「ZARD」が担当すると大々的に発表されたことが非常に強く印象に残っています。

 コナミも『ときメモ3』の販売直前にはTV番組に社員が出演してアピールするなど積極的なマーケティングを行っていましたが、正直あまり効果があったとは言えず、まったく勢いを感じない状態で発売日を迎えてしまいます。

 筆者の手元にもファンド限定版が届きましたがこれは開けずにとっておくことにして、一応義理のつもりで通常版を購入してプレイしてみたのですが、静止画で見た印象とは裏腹に、可愛らしいキャラがキビキビ動く良質のゲームだったことに驚かされました。

 また、キャラクターがプレイヤーの登録名を呼んでくれる「Emotional Voice System(EVS)」は非常にハイレベルなものに仕上がっており、『ときメモ3』をバカにしていた友人に実際にプレイさせてみたところ、徹夜で自分の呼び名を調整していたほどハマったという出来事もありました。

 ゲームのクオリティを十分に伝えることができればもう少し売れたとは思うのですが、結局『ときメモ3』は20万本ほどの売り上げにとどまってしまい、筆者も「ああ、これはお金返ってこないな」とあきらめ、そのまま記憶の彼方へと放り出してしまいました。

 しかし2003年になり、ファンドのことをすっかり忘れていたころ、ほぼ購入額と同額のお金が償還されました。『ときメモ3』は期待したほどは売れなかったのですが、『ときめきメモリアル Girl’s Side』が予想以上の売り上げを叩き出してくれたため、損は避けられたのです。

 あれから20年、現在ではゲームの開発費用調達のためにクラウドファウンディングが行われるなど、より個人とゲーム開発の距離は近くなっています。その先鞭をつけたのが「ときメモファンド」であると考えると、参加を決めた若いころの無茶な自分を、今の筆者はちょっとだけ誇らしく、そして羨ましく思うのです。

(ライター 早川清一朗)

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