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「ときメモファンド」覚えてる? 投資信託で開発資金調達、購入者が経験した結末とは…

2000年にコナミが組成した投資信託「ゲームファンド ときめきメモリアル」は、『ときめきメモリアル3 ~約束のあの場所で~』と『ときめきメモリアル Girl's Side』の開発資金を一般人から募る画期的な投資商品として大きな注目を集めました。当時20口を購入しエンディングにも名前が載っている筆者が当時を振り返ります。

購入者はエンディングに名前が掲載

『ときめきメモリアル3 ~約束のあの場所で~』は「ときメモファンド」で開発され、2001年にPS2向けに発売された。画像は「ときめきメモリアル3 ~約束のあの場所で~ パーフェクトガイド」(コナミ)
『ときめきメモリアル3 ~約束のあの場所で~』は「ときメモファンド」で開発され、2001年にPS2向けに発売された。画像は「ときめきメモリアル3 ~約束のあの場所で~ パーフェクトガイド」(コナミ)

 西暦2000年の筆者は、『ときめきメモリアル』に胸焦がしたメモラー(注:ときめきメモリアルシリーズの熱狂的なファン)生活に別れを告げ、とあるITベンダーで新米SEとして忙しい日々を送っていました。

 そんなある日、会社で調べ物をしていた筆者の目に突然飛び込んできたのが、コナミが『ときめきメモリアル3 ~約束のあの場所で~』(以下、ときメモ3)と「新ときめきメモリアル」(後に『ときめきメモリアル Girl’s Side』として発表)の開発資金を一般人から募るというニュースでした。

「ゲームファンド ときめきメモリアル(以下、ときメモファンド)と名付けられたそれは、1口1万円で10口から購入することができ、10口買えばエンディングに名前が掲載され、20口で『ときメモ3』の限定版がもらえるという、メモラーにとってはとてつもなく魅力的な特典が付いていたのです。

 当然の如く強い興味を覚えた筆者は、秋葉原の今は無き「LAOXザ・コンピュータGAME館」で開催された説明会へと足を運び、「きらめき高校」の制服に身を包んだお姉さんから詳しい話を聞きました。

 ファンドを購入するためにはマネックス証券に口座を開く必要があり、償還額は『ときメモ3』と「新ときメモ」の発売180日後の出荷本数によって決まるなど、さまざまな話を聞き、帰宅してから数日考え、そして投資を決めたのです。いま改めて考えると、当時の筆者は疲れていたのかもしれません。

 最終的にファンドへの申し込みは2783件、集まった金額は約7.7億円でした。近年のゲーム開発は大規模化しており100億円単位の費用がかかったタイトルも複数発売されていますが、当時としてはなかなかの額だったのではないでしょうか。

 そしてファンドの購入からしばらく経過したころ、遂に『ときメモ3』の情報がゲーム雑誌に登場したのですが、筆者は見た瞬間に愕然としました。

 グラフィックのクオリティが、とても低いものに見えてしまったのです。

『ときメモ3』のキャラクターは3Dで造形されており、それまでのシリーズとは異なり、非常に柔らかく、かつダイナミックにキャラクターを動かすことができるようになっていました。現代であれば動画で情報が発表され、その魅力を十分に伝えることができたと思うのですが、当時は雑誌に掲載される写真がすべてであり、「これは失敗したかもしれない」と、ファンドの購入を後悔し始めたのです。しかし途中解約はできなかったため、経過を見守るしかありませんでした。

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