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週65本視聴するアニメライターが選ぶ「人生を変えた」3作品。先入観を砕く面白さ!

日々生まれ続ける新作アニメ。その中から面白い作品を探すのは楽しいながらも少し大変ですが、自分好みのものを見つけたときの快感は格別です。この10年、週65本ほど見続けてきたアニメ好きライターが「人生を変えた」とイチオシする3作品を紹介します。

『プリティーシリーズ』が人生の転機に

「俺は1分1秒、そしてこの瞬間にも成長している! だからこそ言える! 昨日の俺より、今の俺はもっともっともっと強い!」とは、名キッズアニメ『人造昆虫カブトボーグ V×V』第1話における主人公・天野河リュウセイの台詞です。筆者はこの心意気がアニメ全般にも通じると信じています。

 現在、国内外問わずいろんなジャンルの職人が集まって、ものすごく手間がかかる「アニメ」という芸術作品が次々に作り上げられています。もちろん玉石混交ですし、部分的に見れば前進後退をしているのかもしれませんが、総体的に見るとどんどん面白くなっている……筆者はまともにアニメを見始めて10年ほどの新参者ですが、週に65本くらい楽しく見続けたうえで、そう確信しています。

「人生を変えたアニメ3作品」というお題をマグミクス編集部からいただいたときに、『トップをねらえ!』『エヴァンゲリオン』『ガンダム』、そして『コードギアス』といった過去に大好きだった作品も脳裏をよぎったものの、アニメ好きの人間が記事を書く以上、「近年のアニメにもこんな面白い作品もあるよ」とお勧めする役割もあるはずです。今回は、筆者が半人前のアニメライターになるまでを振り返りながら、この10年の“間違いない”アニメを3本紹介したいと思います。

●あまりにドラマチック『プリティーリズム・オーロラドリーム』(2011年~2012年)

『プリティーリズム・オーロラドリーム』キービジュアル (C)T-ARTS / syn Sophia / テレビ東京/ PSプロジェクト
『プリティーリズム・オーロラドリーム』キービジュアル (C)T-ARTS / syn Sophia / テレビ東京/ PSプロジェクト

 本作は現在放送中の『キラッとプリ・チャン』(※)まで続く『プリティーシリーズ』、そしてダンススケートショー「プリズムショー」を題材にした『プリティーリズム』3部作の第1作です。第3作『プリティーリズム・レインボーライブ』は、2010年代後期に大きな話題となった『KING OF PRISM』シリーズのスピンオフ元として知られていますが、その前2作も負けじと大傑作です。

 このシリーズの魅力はとにかくドラマチックなこと。『オーロラドリーム』の場合は友情や愛情、恩讐、過去からの因縁、そして脱力気味なギャグが入り混じった濃厚な人間ドラマが1年にわたって展開しますが、毎回クライマックスで流れるお約束のCGキャラクターによるショーもその魅力を力強く後押しします。

 このショーは当時のTVアニメとしては高クオリティだっただけでなく、その最中もどんどんドラマが繰り広げられるため、単なるCGショーであること以上に心動かされます。こうした物語とショーを重ねて主人公である普通の少女・春音あいらが少しずつ成長していき、トップスター「プリズムクイ―ン」に近づく第4クールは、毎回涙すること必至でしょう。

 筆者は本作を含む『プリティーリズム』シリーズによって「子供向けアニメなのに面白い」ではなく、放送時間や対象性別・年齢関係なく「面白いアニメはとにかく面白い」という当たり前のことを教えてもらいました。当時の筆者はゲームライターで、アニメという好きなものにあまり仕事で関わらないようにしていました。

 しかし、シリーズ第3作『レインボーライブ』放送後に行われたイベントを独自に取材して掲載された記事が、キャパの都合で参加できなかった多くの人に喜ばれたことに感激し、好きなアニメを推していくアニメライターとして活動することを考え始めました。2011年4月9日の初回から間もなく10年、まことにおめでとうございます。

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