ガンダム最新作『閃光のハサウェイ』 ブライトの息子がテロに走った背景とは…?
新型コロナウイルスの感染拡大で、たびたび公開延期となっている劇場アニメ『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、アムロとシャアとの最後の戦いを描いた『逆襲のシャア』、それから12年後の物語が繰り広げられます。アムロとシャアから強い影響を受けた若者ハサウェイ・ノアの、複雑な内面について探ります。
「一年戦争の英雄」を両親に持つハサウェイ
![再び公開延期となっている『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』のポスタービジュアル (C)創通・サンライズ](https://magmix.jp/wp-content/uploads/2021/05/210521-gundam-hathaway-01-212x300.jpg)
初期ガンダム作品を中心に活躍した「ブライト・ノア」艦長の息子が、テロリストになっていた……? 人気SFアニメ「機動戦士ガンダム」シリーズの最新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、かなり衝撃的なストーリーです。『機動戦士ガンダム』(テレビ朝日系)のホワイトベースをまとめ上げたブライト艦長の生真面目さ、そしてブライトの妻となるミライさんの優しさを知る往年のファンにとっては、「その息子のハサウェイがなぜ?」と思わざるをえません。
ガンダムの生みの親である富野由悠季氏が、1989年~1990年に発表した同名小説が原作。『機動戦士ガンダムF91』(1991年)の作画監督、『新機動戦記ガンダムW』(テレビ朝日系)のキャラクターデザインなどを手がけた村瀬修功氏が監督を務めます。村瀬監督の前作『虐殺器官』(2017年)はテロリストと管理社会との戦いを描いたハードなSFアニメで、本作とテーマ的に重なる部分を感じさせます。
歴戦の英雄であるブライト艦長を父親に持ち、母親であるミライさんからも愛情を注がれたはずのハサウェイは、どうしてテロリスト集団に身を投じることになったのでしょうか。2021年5月21日(金)からの劇場公開は延期となった『閃光のハサウェイ』ですが、公式ホームページでは冒頭15分53秒の映像が無料配信中です。映画『閃光のハサウェイ』で気になるポイントに注目して掘り下げてみます。
初恋の少女クェスがトラウマに
公開が待たれる『閃光のハサウェイ』ですが、本作は『逆襲のシャア』で描かれたシャア・アズナブルの反乱から12年後の物語となっています。まずは『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年)をおさらいすることをおススメします。『逆襲のシャア』で13歳の少年だったハサウェイ・ノアは、25歳の落ち着きのある青年に成長を遂げています。
ハサウェイは父・ブライトの戦友であるアムロ・レイをリスペクトする一方、アムロの宿敵だったシャアのことも鮮烈に覚えています。腐敗した地球人たちを粛清しようとしたシャアの思想に、大人になったハサウェイは共感するようになっていたのです。
そして、何よりもハサウェイをかばい、宇宙で散った少女クェス・パラヤのことが忘れられません。ハサウェイにとって、クェスは初恋の相手でした。思春期のときに、戦場で受けた精神的な傷によって、ハサウェイは複雑な心理の持ち主となっていたのです。
シャアとアムロが戦場で亡くなった女性パイロットのララァ・スンをずっと忘れることができなかったように、ハサウェイもクェスの死がトラウマとして心に刻まれているのです。