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ガンダムを限界まで追い詰めた「ブラウ・ブロ」 初登場は故障中、不安定さが「リアル」を演出

『機動戦士ガンダム』に登場したブラウ・ブロは作中で初めてオールレンジ攻撃を披露したモビルアーマーです。最初に登場した33話ではGアーマーにメガ粒子砲を直撃させ、39話の再登場時はガンキャノンの両足を吹き飛ばしてガンダムを限界に追い込みましたが、健闘及ばず撃破されています。

オールレンジ攻撃を可能とした機動兵器

「1/550 MAN-03 ブラウ・ブロ」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ
「1/550 MAN-03 ブラウ・ブロ」(BANDAI SPIRITS) (C)創通・サンライズ

『機動戦士ガンダム』の後半に登場した機動兵器「モビルアーマー」は、モビルスーツをはるかに上回るサイズと戦闘力の高さで、ガンダムを苦しめました。そのなかでも33話「コンスコン強襲」と39話「ニュータイプ、シャリア・ブル」に登場し(42話「宇宙要塞ア・バオア・クー」にも背景として登場)、ガンダムを性能限界にまで追い込んだのが「MAN-03 ブラウ・ブロ」です。

 ブラウ・ブロの全高は62.4m、全長は60mと頭頂高18.0mのガンダムの3倍以上の大きさを誇ります。全備重量は2602.6tでガンダムの全備重量60.0tの43倍以上です。武装としては連装型有線制御式メガ粒子砲塔と単層型有線制御式メガ粒子砲塔をそれぞれ2門ずつ、合計4門を搭載しており、作中で初めて登場したニュータイプ専用モビルアーマーとして強い印象を残しています。

 そんなブラウ・ブロですが、33話では登場時点で故障しており、岩陰に隠れ修理中という状況でした。本来、主人公機であるガンダムにとって大きな脅威であるはずの新型モビルアーマーがこのような形で初登場したことには驚かされますが、新兵器は不安定なものでテストが必要という「人間が作った兵器」としてのリアルさを見事に演出していたのでしょう。

 このとき搭乗していたのはシムス・アル・バハロフ技術中尉と数名の技術者だけであり、戦闘要員でもニュータイプでもありませんでした。それにも関わらずGアーマーに直撃を与えており、ブラウ・ブロの基礎能力の高さを印象付けています。Gアーマーから分離したガンダムには歯が立たず左ブロックを破壊されましたがシムス中尉らは残った右ブロックごと逃走し、生存性の高さを見せつけています。

 次にブラウ・ブロが登場した39話ではメインパイロットはニュータイプのシャリア・ブル大尉が務めてニュータイプ専用MAとして真の性能を発揮し、ホワイトベース隊を大いに苦しめることとなりました。

ホワイトベース部隊を圧倒「下がれ! この敵はいつものモビルアーマーとは違うぞ! 下がれ!」

ブラウ・ブロも登場『機動戦士ガンダム サンダーボルト』第17巻(原案:矢立肇・富野由悠季、著:太田垣康男/KADOKAWA)
ブラウ・ブロも登場『機動戦士ガンダム サンダーボルト』第17巻(原案:矢立肇・富野由悠季、著:太田垣康男/KADOKAWA)

 シャリア・ブルが操るブラウ・ブロの戦闘力は、歴戦のホワイトベース部隊を圧倒します。アムロ・レイのガンダムも初めて見るオールレンジ攻撃に対処できずにシールドを破壊され、増援に現れたカイ・シデンのガンキャノンは一撃で両足を破壊され、撤退を余儀なくされます。ガンタンクやGファイターも戦闘には介入できず、事実上ガンダムとブラウ・ブロの一騎打ちとなりますが、アムロの反応速度にガンダムが付いていけなくなり、徐々に追い詰められていくのです。

 最後はさらなる高度なニュータイプ能力に覚醒したアムロの決死の突撃によりブラウ・ブロは倒されてしまいますが、このときシャリア・ブルはまだ戦闘にもブラウ・ブロにも慣れておらず、もし彼が歴戦の勇士だったなら勝敗はどう転んでいたのかは分かりません。少なくとも、ホワイトベース隊にももっと大きな損害が生じていたことは間違いないでしょう。

 その後、ブラウ・ブロはア・バオア・クーの決戦にも登場したことが確認されていますが、一年戦争後はサイコミュの発展・小型化によりニュータイプ専用モビルスーツの開発が可能になったためか、後継機が開発されるということもなく歴史の波に消えていきました。

 しかし近年、マンガ『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に新たな解釈でリファインされたブラウ・ブロが登場し、大きな活躍を見せています。新たに登場したこの機体は大型のIフィールドジェネレーターを搭載しており、ビーム攻撃に対する大きなアドバンテージを保有しています。ビグ・ザムに搭載されていた装備が生き残ったブラウ・ブロに装備されている可能性は十分に存在しているため、良い解釈ではないかと思えます。また、モビルスーツとのドッキングも可能となっており、『機動戦士ガンダム0083』に登場した「GP-デンドロビウム」を彷彿させる設計となっています。

 かつて『ガンダム』で育った方々が新たに生み出したブラウ・ブロが果たしてどのような形で活躍していくのか。これからもこの機体は、ファンを思わぬ形で楽しませてくれるのでしょう。

(早川清一朗)

【画像】デカさに震える…モビルスーツとドッキングしたMAの姿

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