『ベルサイユのばら』オスカル様は「こじらせ系」!? 不意打ちキスに成功した4人の男性とは
12月25日は名作『ベルサイユのばら』の登場人物、オスカルの誕生日。父の意向で息子として育てられた彼女は自身の恋心にも自分に寄せられる恋愛感情にも戸惑うほど奥手でガードが硬く、現代で言う「こじらせ系」なところも……。オスカルを愛し、不意打ちのキスを成功させた4人の男性をご紹介します。
アンドレの唇を受け入れるまで…
12月25日は、オスカルの誕生日。オスカルと言えば、今なお愛され続けている少女マンガの名作『ベルサイユのばら』の主人公のひとりです。作品では、革命前後のフランスを舞台に悲劇の女王・マリー・アントワネットとスウェーデン貴族のフェルゼン、男装の麗人・オスカルと彼女の幼なじみで従卒のアンドレが織りなすラブストーリーが描かれています。
オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェは、由緒正しい貴族の末娘として生まれましたが、父の意向で息子として、「フランス1の軍人」になるべく育てられました。14歳にして近衛連隊の大尉として王太子妃マリー・アントワネットの護衛を務めて信頼を得るなど、父の期待を裏切らない活躍をしています。
そんなオスカルの恋愛事情は、かなり奥手……。男性相手のケンカでもひるまないのに、恋愛となると自身の恋心にも、自分に寄せられる恋愛感情にも戸惑ってしまうのです。そのうえ、ガードも硬く、現代で言えば、けっこうな「こじらせ系」かもしれません。
しかし、そのガードを突破して、オスカルに不意打ちのキスをした男性が4人もいました! この記事では、オスカルを愛した4人の男性をご紹介します。
●わたしの知っている唇は…
オスカルを愛した男性といえば、幼なじみであり従卒のアンドレ・グランディエです。アンドレは8歳の時に母を亡くし、オスカルの乳母として雇われていた祖母のいるジャルジェ家にやってきました。祖母から、ひとつ年下のきれいなお嬢様の遊び相手をすると聞いていたアンドレの前に現れたのは、たしかにきれいではありますが少年のようなオスカル。しかも、遊び相手ではなく、剣の相手をすることに……。その時から、ふたりの歴史は始まりました。
後に愛を確かめ合い夫婦になるとはいえ、オスカルがアンドレの気持ちに気付く前に、二度の不意打ちのキスをしています。
一度目は、アメリカ独立戦争に遠征したフェルゼンの帰国が遅れ、不安を募らせたオスカルが荒れ、酒場で男たちと乱闘を繰り広げた時です。多勢に無勢で、手ひどくやられたオスカルを抱きかかえたアンドレは、「オスカル… かわいそうに… どれほど苦しいだろう どんなかっこうをしていても おまえはまちがいなく女だ… こみあげる心の苦しみをひとりではかかえきれないこともあるのだろうに…」と、気を失っている彼女に唇をそっと重ねました。
二度目は、黒い騎士(=ベルナール)の騒動でアンドレが左目を負傷した後です。フェルゼンに失恋し、黒い騎士から民衆の間にくすぶる不満を知り、父に逆らってベルナールをかばう……など、オスカルの周囲と心が大きく変化した時でした。オスカルの様子から、フェルゼンへの嫉妬を募らせたアンドレは強引に唇を奪い、抱き寄せ、オスカルを我がものにしようとしますが……。
予想していなかったアンドレの激情に驚き、拒絶したオスカルですが、後にこの時のアンドレのキスを思い出し、胸に痛みを感じる日が来るのです。
●オスカルをマドモアゼルと呼ぶ唯一の男性
次にオスカルに不意打ちのキスをしたのは、かつて部下だったジェローデルでした。
ベルナールから民衆の困きゅうした生活を知らされたオスカルは、王宮を守る近衛隊から、衛兵隊に異動します。そんな娘の身を案じたジャルジェ将軍は、突然、オスカルにジェローデルとの結婚話を持ち掛けるのでした。
ジェローデルは、容姿端麗で冷静、ロマンチストで、強引な言動さえ魅力的な男性です。初めて出会った時からオスカルを女性として見て、ずっと憧れてきたという彼はオスカルを「マドモアゼル」と呼び、愛を語りますが、オスカルは彼を突っぱねました。それでもジェローデルは諦めません。「わたしのこの胸でよければ… いつでも… いつまでもあなただけをうけとめる用意がある なにもかも… 胸につかえた悲しみや 肩にせおった苦しみを みんなわたしに あずけてはみませんか…」と手をさしのべられ、オスカルは思わず彼のキスを受け入れてしまうのです。しかし、それは彼女の知る唇とは違いました。
オスカルの知る唇、それは狂おしく彼女を求め、重ねられたアンドレの唇です。「あ…… そうだ もっと熱っぽくて… 弾力があって… すうようにしっとりと わたしの唇をおしつつみ しのびこみ… 私の知っているくちづけは…」と、激しい胸の痛みと溶けてしまいそうな「あまいうずき」を感じるのでした。
そんなアンドレへの想いに気付いたオスカルは、自分はアンドレを不幸せにしないために一生、誰とも結婚しないと、ジェローデルに告げます。そして、そんなオスカルに、ジェローデルは「うけとってください わたしの…… ただひとつの愛の証です…… 身を…… ひきましょう……」と告げ去っていったのでした。