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『エヴァ』『コナン』『竜そば』…2021年の劇場アニメ&実写化作品を興収とともに回顧

2020年に続き、2021年もコロナ禍が吹き荒れました。そんな逆境のなかで映画界に活況をもたらしたのは『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『名探偵コナン 緋色の弾丸』『竜とそばかす姫』などのアニメ作品です。人気マンガの実写化映画の話題も含め、2021年の日本映画界を振り返ります。

さよなら、全てのエヴァンゲリオン。

映画『竜とそばかすの姫』ポスタービジュアル (C)2021スタジオ地図
映画『竜とそばかすの姫』ポスタービジュアル (C)2021スタジオ地図

 2020年は人気アニメ『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が国内の映画興収記録を19年ぶりに更新したことが、コロナ禍に見舞われて低迷した映画界の話題を独占しました。

 東京オリンピック&パラリンピックが開催された2021年も、非常事態宣言が秋まで断続して続く厳しい状況でしたが、そんななかで興収102.8億円のメガヒットを記録し、年間の映画興収ランキング第1位となったのが庵野秀明監督の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』です。

 二度の公開延期の末に3月8日、月曜という平日に封切られた『シン・エヴァンゲリオン』は、上映時間2時間35分のなかで碇シンジ、綾波レイ、式波アスカ・ラングレー、葛城ミサトらメインキャラクターたちのそれぞれの「落とし前」がきっちりと描かれました。1995年~96年の『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ東京系)のTV放送から数々の謎を残してきた「エヴァ」シリーズですが、TV版、旧劇場版のファンも納得できる壮大なフィナーレとなっていました。

 小冊子やミニポスターなどの入場者特典も、リピーターを動員する上で大きな効果がありました。庵野監督に4年間密着取材したドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀「庵野秀明スペシャル」』(NHK総合)、その完全版となる『さよなら全てのエヴァンゲリオン 庵野秀明の1214日』(BS1)も反響を呼びました。

 スタジオジブリは、宮崎駿監督が制作現場を、鈴木敏夫プロデューサーが興行や宣伝をそれぞれ仕切るという分業制で『千と千尋の神隠し』(2001年)や『風立ちぬ』(2013年)などの大ヒット作を生み出してきました。その点、「エヴァ」シリーズは、スタジオ「カラー」の一枚看板である庵野監督に負うところが多い作品です。その「エヴァ」シリーズが、四半世紀を経て無事に完結したこと、難解さがあるにもかかわらず最終作が100億円を突破したことは、現実世界に起きた奇跡のようにも感じられます。

評価が割れた『竜とそばかす姫』

 FBI捜査官の赤井秀一ら「赤井ファミリー」が大活躍する『名探偵コナン 緋色の弾丸』は、年間興収ランキング第2位となる76.5億円でした。2020年公開予定だった『緋色の弾丸』は1年遅れでのGW公開となり、前作『名探偵コナン 紺青の拳』(2019年)の興収93.7億円こそ下回る結果となりましたが、大都市のシネコンが休業していた状況でのこの成績はむしろ大健闘です。

 2022年GW公開の新作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』は、シリーズ初となる100億円の大台が射程距離に入っているのではないでしょうか。

 細田守監督の新作アニメ『竜とそばかす姫』は7月に公開され、65.3億円の大ヒットに。年間興収ランキングの第3位です。細田監督は『バケモノの子』(2015年)の58.5億円が最大のヒットでしたが、それを更新することに成功しました。細田監督の出世作『サマーウォーズ』(2009年)と同じく仮想空間を舞台にしており、「U」と名付けられたカラフルなネット世界のビジュアルは、劇場に足を運んだ人たちを圧倒しました。

 主人公となる女子高生・すずを演じたシンガーソングライター・中村佳穂さんの歌唱力、人気アーティストの常田大希さん(millennium parade)が作詞・作曲を手掛けたテーマ曲「U」をはじめとする楽曲のよさも、劇場で楽しむのに最適な作品でした。12月31日(金)放送の『NHK紅白歌合戦』には、「millennium parade×Belle」として中村さん、常田さんが出演することが決まっています。

 ディズニーアニメ『美女と野獣』(1991年)を彷彿させるミュージカル仕立てとなっていた『竜そば』ですが、ストーリー面の弱さを指摘する声もネット上では目立ちました。「U」の世界と同じく、ユーザーが参加することで完成する物語なのかもしれません。評価が割れたものの、細田監督はネットユーザーたちにとって目が離せない存在になっていることは確かなようです。

【画像】2021年「劇場アニメ/マンガ原作映画」の興収上位作品たち(5枚)

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