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『大怪獣のあとしまつ』だけじゃない? 観客と作り手の「すれ違い」がスゴかったSF映画たち

人気声優のデビュー作『北京原人 Who are you?』

映画『北京原人 Who are you?』DVD(東映ビデオ)
映画『北京原人 Who are you?』DVD(東映ビデオ)

「ウパーッ!」

  佐藤純彌監督の『北京原人 Who are you?』(1997年)を一度観ると、北京原人の発する叫び声が忘れられなくなってしまいます。

 犯罪サスペンスの傑作『新幹線大爆破』(1975年)や『野性の証明』(1978年)など、佐藤監督は数多くの人気作を生み出してきました。多彩なフィルモグラフィーのなかでも、特撮&特殊メイクを駆使したサイエンスファンタジー『北京原人 Who are you?』はひときわ異彩を放っています。

 もともとは北京原人の化石が紛失した謎を追う歴史ミステリーの映画化を佐藤監督は考えていたのですが、東映の岡田裕介プロデューサーから「北京原人を現代に蘇らせたほうが面白い」と言われ、企画変更したという経緯がありました。

 遺伝子操作によって現代に蘇った北京原人ですが、なぜか陸上競技会に出場し、世界新記録を狙うシーンには思わず吹き出してしまいます。佐藤監督自身、『北京原人 Who are you?』は失敗作と認めているのですが、生命科学研究所に勤める主人公(緒形直人、片岡礼子)らと北京原人一家とが心を通わせるシーンには、うるっとくるものがあります。

 ハリウッド大作『ジュラシック・パーク』(1993年)を観た直後では、特撮シーンが霞んでしまった感がありました。でも、北京原人タカシを演じた本田博太郎さん、同じくハナコを演じた小松みゆきさんの熱演、また人気声優の小野賢章さんが子供の北京原人ケンジで映画デビューを果たしているなど、見どころが多い作品です。

 映画を見終わった後、あなたも「ウパーッ!」と叫びたくなるに違いありません。

わずか19日間で打ち切られた『幻の湖』

映画『幻の湖』DVD(東宝)
映画『幻の湖』DVD(東宝)

 東宝創立50周年記念作品として公開された『幻の湖』(1982年)も、ストーリーがぶっ飛んでいます。大ヒット作『日本沈没』(1973年)や『砂の器』(1974年)などを手掛けた名脚本家・橋本忍氏が製作・脚本・監督を兼ねたオリジナル作品です。

 琵琶湖の湖畔を愛犬シロと一緒にジョギングするのを日課にしている道子(南條玲子)が、主人公です。道子に懐いていたシロですが、何者かに殺されてしまいます。復讐に燃える道子は米国の諜報員の協力を得て、犯人を突き止め、ジョギング対決を挑むことになります。

 風俗嬢として働く道子は「お市」という源氏名を持っており、物語後半は織田信長の妹・お市の方が生きていた戦国時代へと時空をさかのぼり、ラストシーンは宇宙空間にまで話が広がります。

 北大路欣也さんが織田信長、高橋恵子さんがお市の方を演じ、特撮シーンは『日本沈没』の中野昭慶特技監督が務めています。豪華キャスト&スタッフを擁した『幻の湖』ですが、わずか19日間で上映は打ち切られ、「幻の映画」と呼ばれていました。ここまで奇想天外な物語は、まず凡人には思いつきません。

「迷作」や「トホホ映画」と呼ばれる『デビルマン』『北京原人 Who are you?』『幻の湖』ですが、映画史に残る名作と同じくらい、人を惹きつける力のある作品でもあります。ついつい誰かに語りたくなる、不思議な魅力を持っています。興収結果や周囲の評価を気にすることなく、自分だけの逸品を見つけて楽しむことも、映画ファンの密やかな喜びではないでしょうか。

(長野辰次)

【画像】有名人が監督した、「賛否両論を呼んだ」映画作品たち(7枚)

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