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放送35周年の『赤い光弾ジリオン』アニメ界の「奇跡」を生んだプロデューサーの熱意とは

精鋭が続々と集結

アップルがジャケットに描かれた、『赤い光弾ジリオン』レーザーディスク。筆者が30年ほど前に購入したもの
アップルがジャケットに描かれた、『赤い光弾ジリオン』レーザーディスク。筆者が30年ほど前に購入したもの

 石川氏は『ジリオン』をすごい作品とするために自ら責任を負うことを決意。実家を抵当に入れて制作資金をねん出し、優秀なスタッフに声をかけてチームを編成、経営陣に直談判して制作プロデューサーに就任しました。さらに、京都アニメーション創業者の八田陽子・英明の両氏の助けを借りてタツノコ制作分室を設立、タツノコからのグロス請け(下請け)という体裁をとって制作作業を開始します。

 監督を務めたのは西久保瑞穂氏。優れた演出能力で知られるタツノコ四天王と呼ばれた人物たちのひとりで、後に水谷優子さんと結婚されています。

 また、『ジリオン』終了後に石川氏が立ち上げた「プロダクション・アイジー」で現在は取締役を務める黄瀬和哉氏や、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』でキャラクターデザインを担当した沖浦啓之氏もアニメーターとして腕を振るっており、天才たちが飛躍するきっかけともなりました。

 後に『機動警察パトレイバー』や『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』で一世を風靡する押井守氏も「丸輪 零」という変名で参加し、コンテや演出を担当していることも特筆すべきでしょう。

 他にも、ここに全ての名前を記載することはとてもかなわないほどの数の優れたスタッフが『ジリオン』には集結しており、厳しい台所事情のなかで最高の作品を作り上げたのです。クオリティを生み出すのは優れたスタッフであり、優れたスタッフは情熱あるリーダーのもとに集うもの。石川氏の『ジリオン』にかける情熱が、35年経っても愛される作品を生み出したといっても、過言ではないでしょう。

 2021年にも同人誌イベントが開催されるなど、今なお熱烈なファンから愛され続ける『ジリオン』。きっとこれからも、多くの人の心に残り続けることでしょう。

※参考文献「ZILLIION ARCHIVE BOOK Vol.1」(著:SiFi-TZK)

(早川清一朗)

【画像】ファン熱愛!『赤い光弾ジリオン』の貴重な資料・関連商品(5枚)

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