ドラえもんの「ひみつ道具」に考えさせられる 料理写真を見ただけで満腹に?
『ドラえもん』のひみつ道具は便利なものばかりですが、なかには「使えば便利だろうけど、本当に必要なの?」と疑いの声があがるものも。この記事では、思わず考え込んでしまいそうなひみつ道具を紹介します。
便利なひみつ道具は「大切な何か」を失う可能性も

今はあらゆる分野で技術が発達し、何をするにしても昔より便利な時代になっています。『ドラえもん』に登場する「ひみつ道具」のなかには、今だからこそ「本当に必要なのか」と考えさせられるものもあります。
最初に紹介するのは、ドラえもんがのび太に「お金の大切さ」を学んでもらうために出したひみつ道具、「フエール銀行」です。お金を預けてしまえば「1時間で1割」という、ありえないような利息が付く銀行です。
10円を1週間預けただけで9000万円に増えてしまうわけですから、とんでもない道具といえるでしょう。しかし逆に「フエール銀行」からお金を借りてしまうと、「1時間に2割」という恐ろしい高利子を取られてしまいます。そればかりではなく、利子を払えないと自分の持ち物がどんどん消えてしまうという、恐ろしい側面も……。
原作ではのび太が限定のプラモデル欲しさに、「フエール銀行」からお金を借りてしまいます。SNSでは「じっくりと金額が増えるって、つみたてNISAみたい」と現実世界の金融商品に見立てる声が。
さらに「お金を借りる、返すということの大事さも説明しているようにも思える」などと語られています。「フエール銀行」がただお金を増やすだけではなく、お金の大切さやお金を扱うことの難しさも示唆している点について、多くのコメントがあがっていました。
「心の土」というひみつ道具は、のび太がいつも遊んでいる裏山に砕いてばら撒くことで「裏山自体が意思を持ち、心を通じ合わせられる」というアイテム。普段から裏山に対して愛情や思いやりを持つのび太だからこそ、お互いに心を通わせ友達のような関係になれました。
SNSでは「私も心の土で山と心を通わせたいって何度も思った」と、欲しいひみつ道具のひとつにあげている人も少なくありません。一方で「のび太が思いやりを持って接していた裏山だったから良かったけど、人間の欲望で汚染させてしまった海が意志を持った場合は報復が怖いよね」など、環境破壊をやめない人間の罪深さを思い返して恐怖するコメントも。
便利さを優先しがちな現代だからこそ、自然との接し方について深く考えさせられるひみつ道具なのかもしれません。
最後に紹介するのが、食べ物の絵や写真にふりかけると、見ただけで味覚を感じ、お腹も満たされる「食品視覚化ガス」というひみつ道具です。
普段、忙しくてご飯を食べる時間がない人のために発明された道具です。しかも写真や絵にガスを吹きかけて、大勢で見ても食べ物が減らないメリットがあり、とても便利な道具に感じられます。SNSでも「ご飯作るのが面倒だからホントに欲しい」などの声が。
しかし作中では、「のび太のママ」からフランス料理の本を手渡され視覚で食事をした「のび太のパパ」は「どうもなんだかもうひとつ……」と物足りない表情を見せています。
ネット上では「作る楽しさや、みんなで食事を取る楽しさが無くなってしまったからでは」と、パパの気持ちを代弁するコメントも。食品視覚化ガスは便利そうだという声がある一方、「食事の大切さとは何か」を考えさせてくれるひみつ道具と言えるでしょう。
『ドラえもん』のひみつ道具は便利なものがたくさんあり、一度は使ってみたくなるものばかり。しかしお話のなかで、暗に「利便性のみを追い求めていては、人間として大切なものを失う可能性がある」と教えてくれているのかもしれませんね。
(LUIS FIELD)