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子供の夢が詰まったウルトラ怪獣「公募」企画 名キャラが生まれるが問題も発生?

特撮好きの子供たちはいつだって、「僕が考えた怪獣」を描いています。その怪獣を実際にウルトラシリーズに登場させる、「公募企画」には大きな大きな夢があったのです。

あわや「権利問題」に発展? 「公募」背景にある大人たちの戦い

「ウルトラキッズDVD ウルトラ怪獣大映像図解! ウルトラセブン編」(バンダイビジュアル)
「ウルトラキッズDVD ウルトラ怪獣大映像図解! ウルトラセブン編」(バンダイビジュアル)

 今なお日本中の子供たちを熱狂させ続けるウルトラシリーズで、ウルトラ戦士たちと同様に人気を獲得し続けているのが、「円谷怪獣」たちです。

 子供たちの豊かな想像力は、常に自分だけの怪獣を生み出し続けてきました。例えば『ウルトラマン』の第15話「恐怖の宇宙線」では、少年の落書きがガヴァドンとして実体化するというエピソードが描かれます。自分が描いた怪獣が、もし出現したら……なんと夢のある話でしょうか。

 この「ワクワク」を実現してくれたのが、視聴者からオリジナルのデザインを公募する企画でした。『ウルトラセブン』で早くも行われることになり、「週刊少年マガジン」で「アイディア宇宙人大募集」の優秀作に選ばれたものが、実際に作品内に登場したのです。

 そのとき、金賞を受賞したのが「回転サイボーグ デイクロス・レイザ」という作品で、ひだのついた一本足が特徴的なロボットでした。これが『ウルトラセブン』第41話「水中からの挑戦」に登場する、「テペト」になります。また銀賞を受賞した「ガイロス星人」は、第42話「ノンマルトの使者」に登場する「ガイロス」として登場しました。どちらもデザインには変更が加えられましたが、自分の案が『セブン』に採用されたことは生涯の誇りでしょう。

 続く『帰ってきたウルトラマン』の第34話「許されざるいのち」に登場した「レオゴン」は、プロットも含め、視聴者の高校生・小林晋一郎さんの案が採用されたものでした。こちらは大々的な「公募」が行われていたわけではないので、かなり特殊な例です。なお、この小林さんはのちに『ゴジラvsビオランテ』のストーリー原案も、「公募」で採用された実績の持ち主です(本業は歯科医師!)。

 平成以降も公募企画は行われ、『ウルトラマンティガ』では「合体にじ怪獣でんでんわに」というアイディアが、最優秀賞に選ばれました。ただしこちら、どうやら『ドラえもん』に登場する宇宙生物「デンデンワニ」を、参考に描いたものであったようで……なかなかスリリングな事態が想像されます。

 しかしながら、子供の無邪気な投稿に罪はないのは明らかです。立ち塞がっていたであろう「大人の事情」を見事クリアされ、この怪獣は結果として第46話「いざ鎌倉!」にて、「タラバン」として堂々と登場したのです。当時の詳しい内部事情に関してはわかりませんが、子供たちとの約束を守るために働きかけた「大人」たち、素敵です。

「僕の考えた怪獣」と戦うのはウルトラ戦士ですが、その夢を叶える大人たちもまた間違いなくヒーローだったといえるでしょう。

(片野)

【画像】ナイスデザイン子供たち!視聴者が考えた怪獣(4枚)

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