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「一度観たら終わり」じゃないよ! 最終回迎えた『さらざんまい』の中毒性

現実世界とは切り離された独特の世界観や演出がいたるところに散りばめられた、2019年春アニメ『さらざんまい』。先日最終回を迎えた本作品を振り返り、その見どころを改めて紹介します。

独特な世界観だからこそ見える「欲望」と「つながり」の力

『さらざんまい』第十一皿(最終回)より (C)イクニラッパー/シリコマンダーズ
『さらざんまい』第十一皿(最終回)より (C)イクニラッパー/シリコマンダーズ

 先日最終回を迎えた春アニメ『さらざんまい』は、『少女革命ウテナ』や『輪るピングドラム』を手掛けた幾原邦彦監督らしい、現実世界とは切り離された独特の世界観や演出がいたるところに散りばめられており、難解な展開でファンに衝撃を与えました。

 東京・浅草を舞台に、尻子玉が持つ「欲望エネルギー」をめぐる、カッパ王国第一王位継承者・ケッピとカワウソ帝国の戦いと、それに巻き込まれた、中学生男子3人を中心とする人間関係の物語です。

 巻き込まれた同級生の矢逆一稀(やさかかずき)、久慈悠(くじとおい)、陣内燕太(じんないえんた)には、それぞれ触れられたくない、知られたくない秘密がありました。しかしこの戦いで必要となる「さらざんまい」は、身も心もつながり秘密が“漏えい”してしまうワザ。

 これにより、一稀、悠、燕太は、それぞれの「秘密」を共有してしまい、そこから彼らが抱える「闇」、そして大切な「思い出」や「つながり」が次々と漏えいしていきます。

 本作のキャッチコピーとして「つながっても、見失っても。手放すな、欲望は君の命だ。」が掲げられているように、彼らはこの「欲望」と「つながり」に翻弄され、振り回され、目をそらそうとしつつも、心のどこかで追い求めていきます。

 独特の世界観や非現実的な事件の数々に驚き、呆然としてしまうシーンも多々ありますが、「欲望」も「つながり」も、根本的には私たち誰もが持っている、きちんと向き合わなくてはいけない根っこの部分。「欲望」という言葉はあまりいい意味で使われることはありませんが、この作品は、人が隠そうとしがちな「欲望」にあえて焦点を当て、それが持つ重大さ、危うさ、深さを描いた作品であるように思います。

【画像】「欲望」に翻弄された3人が、たどり着いた場所は…?

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