『FF3』の移植を阻んだ「爆速飛行艇」の謎 天才プログラマーにまつわる噂の真相は?
15年以上たって実現した初移植 高速移動の再現度は?

飛空艇の動きを「60分の1秒に詰め込んだ」というのは、次の理由によります。ほとんどのテレビは、ファミコン発売当時の「ブラウン管テレビ」から現代の「液晶テレビ」に至るまで、画面の書き換えが60分の1秒ごとに行われています。この時間内にスクロールなどの準備を終わらせないと「処理落ち」が発生し、例えば画面の書き換えが間に合わず、スクロール時にマップの一部がガクガクしたように見えるなどの影響が出ます。
しかし、『III』の飛空艇の移動では、そんな様子は見られません。イメージ的にいえば、他のプログラマーはこの時間内に読み込めるマップデータの量が少ないプログラムしか書けなかったから、高速スクロールを真似できなかった……ということになるでしょうか。
なお、この高速処理を実現するために「ファミコンCPUのバグを利用した」という噂ですが、事実かどうかは少々怪しく感じます。確かにそういうバグはあったようですが、近年、それを利用しなくても同等の処理が可能であることを証明した人がいますし、ジベリ氏や開発者が「バグを利用した」と語っている情報を見つけられませんでした。
もちろん火のないところに煙は立たないので、ここまで語り草になっている以上は事実なのかもしれませんが、本記事では真偽不明としておきます。
さてこの高速移動ですが、実は初の移植となったニンテンドーDS版では完全再現には至っていません(速いには速いのですが)。うわさだと「何度も移植が試みられては止まっていた理由は高速移動を実現できなかったから」なのに、結局実現させずに発売したのは不自然に思えますよね?
実はDS版の開発者が当時の速度を実現しようとしたという趣旨の話をしているようなので、実現にこだわるのはやめたのかもしれません。というのも、DS版は3Dで完全リメイクした別物といってよいほどのものなので、ファミコン版とDS版のプログラム技術や、両ハードの処理速度を単純に比較することに意味がなく、再現できなくてもマイナスになるとは思えません。
それにしても、1990年の技術が2006年の開発者にとっても目標だったようですから、ジベリ氏の偉大さがわかるというものです。そうそう、2023年4月20日にPlaystation 4版とNintendo Switch版が発売になった『ファイナルファンタジー ピクセルリマスター』の『III』だと、飛空艇はファミコン版と同等の速度で飛んでいますよ!
(タシロハヤト)




