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『なつぞら』の未来であり「ジブリ」の原点。『ホルスの大冒険』を知るとドラマは更に面白い?

影のあるヒロイン・ヒルダに魅了されたのは……?

高畑勲氏の最後の監督作品となった『かぐや姫の物語』(画像:アニメフィルムフェスティバル東京実行委員会)
高畑勲氏の最後の監督作品となった『かぐや姫の物語』(画像:アニメフィルムフェスティバル東京実行委員会)

 ホルスが悪魔グルンワルドの放った狼たちと戦い、巨人モーグと氷のマンモスが激突するなど、息を呑むようなスペクタクルシーンを楽しむことができる『ホルスの大冒険』。本作で長編監督デビューを果たすことになる高畑監督ら東映動画若手スタッフの、熱い息吹が伝わってくる内容です。イタリア語の「ghibli(熱風)」から命名された「スタジオジブリ」の原点ともいえる、素晴しいスタッフワークによって完成した力作です。

 いま観ても見どころたっぷりな『ホルスの大冒険』ですが、ひときわ印象に残るのはヒロインである美少女ヒルダが、二面性のある女性として描かれている点でした。

 ヒルダは優しい心の持ち主ですが、一方では美しい歌声で村人たちの労働意欲を奪ってしまいます。実は、ヒルダは悪魔グルンワルドと内通していて、邪魔者のホルスを村から追い出すために、秘密工作員としてホルスに近づいたのです。

 2004年に刊行された『日本のアニメーションを築いた人々』(叶精二著、若草書房)によると、まだ入社間もない新人アニメーターだった宮崎監督がいちばん多くの原画を手掛け、次いで奥山さんの原画量が多く、奥山さんの担当シーンは全編にわたっていたことが語られています。

 ヒルダの微妙な表情は主にベテランアニメーターの森康二氏(『なつぞら』では井浦新が演じている仲努)の手によるものですが、ヒルダがホルスを“迷いの森”へ突き落とすシーンなどは、奥山さんが担当したそうです。

 影のあるヒルダは劇場公開時から話題を呼び、男性ファンを魅了しました。その後、東映動画から独立する高畑&宮崎コンビによるテレビシリーズ『母をたずねて三千里』(フジテレビ系)に登場する人形劇団一座の次女フィオリーナや、宮崎監督の監督デビュー作となる『未来少年コナン』(NHK総合)のヒロイン・ラナも、所在なさげな憂いのある表情を浮かべていました。

 いずれも男が放っておけない薄幸系の美少女キャラクターです。宮崎作品のヒロインのルーツを、ヒルダの中に見ることができるのです。

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