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ヒーローがクズな異色ドラマ『ザ・ボーイズ』 米国で大ヒットの理由とは?

2019年夏に「Amazonプライムビデオ」で配信されるや、2週間で最多再生回数記録を達成するなど、話題の海外ドラマ『ザ・ボーイズ』。数多くのヒーロードラマが制作される中で、特に異彩を放ち、18禁ながら驚くほど人気を集めている同作品の魅力はどこにあるのでしょうか。

ヒーロー映画全盛期に突如現れた、アンチヒーロードラマ

米Amazonプライムビデオのオリジナルドラマ『ザ・ボーイズ』ポスター (C)Amazon Studios
米Amazonプライムビデオのオリジナルドラマ『ザ・ボーイズ』ポスター (C)Amazon Studios

『アベンジャーズ:エンドゲーム』『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の大ヒットがまだ記憶に新しい2019年8月、アメリカンコミック原作のオリジナルドラマ『ザ・ボーイズ:シーズン1』がAmazonプライムビデオで配信開始され、アメリカでは配信2週間でAmazonプライムドラマ史上最高の再生回数を突破して話題になっています。

 ヒーロードラマも数多く配信されるなかで異彩を放つ同作品の魅力は、どこにあるのでしょうか。

「スーパーヒーローたちが名声に溺れてしまった」という設定のもと、巨大企業ヴォートに雇われたスーパーヒーロー7人で構成されるチーム”セブン”のひとりに恋人を殺された主人公が、元FBIのビリー・ブッチャーらと一緒に自警団「ザ・ボーイズ」を結成し、スーパーヒーローを正していく姿が描かれます。

 大きなポイントとして、この作品は「18+」つまり18禁の年齢カテゴリになっており、性描写や過激な暴力表現があります。完全なティーン向けのスーパーヒーロー作品とは真逆で、「スーパーヒーローを殺したいほど憎む一般人」をメインの視点として、ヒーローたちが活躍する世界の人物たちの復讐と、隠された巨悪を暴くというアンチヒーロー作品として仕上がっています。

 2019年の『アベンジャーズ』のヒットでスーパーヒーロー作品というものに触れたばかりの人にとって、「ヒーローとは何か?」を考える描写がこれでもかとばかりに詰め込まれているのです。

「超能力を持つスーパーヒーローが人間としてクズだったら」という世界観のなかで起こる出来事は暗く、リアリティをもって描かれており、グロテスクなシーンもありますが、それがスーパーヒーローの人間味を異常なほど引き出しています。

 作中で扱われるキーワードは「性的搾取」「#MeToo」「ドーピング」「セレブ社会」などなど、アメリカの社会問題が盛りだくさん。実際に世間で話題になった社会問題を考えさせる仕組みも入れ込まれています。さらに、さまざまな映画作品のオマージュも満載で、さまざまなファン層の心をつかんでいるのでしょう。

 セレブやアーティスト、政治家、社会活動家など市民の味方であるはずの人びとが、裏では性暴力やパワハラを行っていたことを強烈に揶揄し、さらにこういった事実から人びとが目をそらしていることにも主人公たちは言及するなど、SFの話では収まらないストーリー運びに魅力が詰まっています。

【画像】パロディを超えたヒーロードラマ、『ザ・ボーイズ』の登場人物(7枚)

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