『北斗の拳』南斗六聖拳に見る「不公平さ」とは?「良いヤツほどエグッ」
「週刊少年ジャンプ」誌上で1983年から連載がスタートした『北斗の拳』は、魅力的なストーリーやキャラクターで人気を集めました。なかでも、主人公・ケンシロウが使う北斗神拳に相対する南斗の戦士たちに、熱い思いを寄せるファンも少なくありません。そこで本記事では、南斗の頂点に立つ南斗六聖拳の伝承者たちの最期に注目します。
ケンシロウの仲間になるのは損だった?

「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1983年から連載がスタートした『北斗の拳』には、主人公・ケンシロウを中心に魅力的な戦士たちが登場します。なかでも南斗六聖拳の男たちは物語にも大きくかかわり、記憶に残っている読者も多いはずです。
しかし、彼らが迎えた最期について、一部ファンの間では「良いやつほど無残な死を遂げている」という声もあがっています。本記事では、そんな南斗六聖拳の壮絶な死に様について振り返ります。
南斗六聖拳のなかで、殉星の宿命を背負っていたのがシンです。一度はケンシロウの胸に7つの傷をつけて敗北に追いこみましたが、その後、ユリア奪還に燃えるケンシロウに敗れて高層ビルから身を投じました。
ケンシロウからユリアを奪って連れ去った非道な男ですが、その死は、彼女への愛に殉じるかたちとなりました。そのためか、読者からは「漢(おとこ)としてのメンツを最後まで保った」「死に方がカッコよすぎる」といった声もあがっています。
続いて紹介するのも悪役として登場しながら、最後は穏やかな死を迎えたふたりです。
将星の宿命を背負うサウザーは、師匠であり育ての親だったオウガイを殺めてしまい、愛を捨てて悪の道へと進みます。
一度はケンシロウを倒すものの、二度目の対戦で敗北したサウザーは、最後は師・オウガイの亡骸のもとに歩みを進めて、ぬくもりを求めた子ども時代の気持ちに戻って、最期の時を迎えました。
そして妖星の宿命を持つユダは、勝つためならどんな手でも使う狡猾な男です。マミヤの両親を殺害し、彼女を自身の居城に連れ去ったのもユダでした。
ユダは同じ南斗六聖拳のレイの華麗な奥義に強い嫉妬心をいだき、彼の余命が尽きかけているところを狙って戦いを挑みます。しかし、迷いを捨てたレイの強さに圧倒され、またもやレイの美しい技に魅せられた隙に致命傷を負いました。
最期はユダ自身がレイの実力を認め、彼の胸の中で穏やかな表情を浮かべて息絶えます。
このようにサウザーもユダも悪の道を進みながら、両者ともに穏やかな死を迎えたのが印象的です。
一方で、ケンシロウに味方をした南斗六聖拳のふたりは、あまりにも壮絶で無惨な死を遂げます。義星の宿命を背負ったレイは、妹と再会後、ケンシロウに協力すべく行動をともにしました。
しかし、その道中で対峙したラオウに敗れ、余命が3日になる秘孔「新血愁」を突かれてしまいます。命が尽きる前にユダに勝利したレイは、ひとりで家屋に入ったあと「新血愁」によって全身から血が吹き出すという、あまりにも壮絶な死を遂げました。
また、サウザーに対抗していた仁星の宿命を背負ったシュウの死に様は、さらに悲惨でした。サウザーに人質を取られ、足の筋を切られたシュウは、その身体で聖帝十字陵の頂に置く聖碑を運ばされます。そして十字陵の頂上で矢や槍の一斉射撃を受けると、最後は聖碑に押しつぶされて死亡しました。