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なぜかTV放映されない『海がきこえる』 「ジブリ」の人気作も宮崎駿が認めなかった?

数々のヒット作を生み出してきた、アニメーションスタジオ「スタジオジブリ」の作品は、「金曜ロードショー」(日本テレビ系)での放映がおなじみとなっていますが、なかなかテレビ放映されないジブリ作品も存在します。その理由を探っていくと、スタジオジブリでは巨匠・宮崎駿監督の後継者が育ちにくいという内情もあるようです。

ブランド力の高さを誇る「宮崎駿」とスタジオジブリ

ヒロインの性格描写も際立っていた『海がきこえる』  (C)1993 氷室冴子・Studio Ghibli・N
ヒロインの性格描写も際立っていた『海がきこえる』  (C)1993 氷室冴子・Studio Ghibli・N

 宮崎駿監督の劇場アニメ『君たちはどう生きるか』は、2023年7月14日より公開が始まり、現在もロングラン上映が続いています。公開10週目となった9月17日時点で、興収81億6000万円を記録しています。

 前作『風立ちぬ』(2013年)の興収120億円には及ばないものの、莫大な宣伝費を投じることなく、これだけの数字を残すところは、宮崎監督とスタジオジブリのブランド力の高さを感じさせます。また、劇中に出てくる大伯父が現在82歳になる宮崎監督自身、「下の世界」がスタジオジブリの現状を連想させることでも話題となっています。

 一方で、9月21日にスタジオジブリが日本テレビの子会社になることが報道され、そのなかでスタジオジブリの後継者問題に再び注目が集まっています。

 ジブリ作品は、これまでたびたび日本テレビ系列で放映されてきました。宮崎監督の『となりのトトロ』(1988年)や『天空の城ラピュタ』(1986年)を、幼い頃からテレビで観て育ったという世代は多いでしょう。

 地上波テレビで放映された宮崎駿作品を調べてみたところ、7月に「金曜ロードショー」(日本テレビ系)で放映されたばかりの『風の谷のナウシカ』(1984年)が20回、『ラピュタ』『トトロ』は18回、『魔女の宅急便』(1989年)は16回でした。これらの人気作は、「金ロー」で放映されるたびにSNS上で盛り上がることでも知られています。

夕方の放送で視聴率17%を超えた『海がきこえる』

 宮崎駿作品が頻繁にテレビ放映される一方、ジブリ制作なのにテレビではあまり見ない作品もあります。その筆頭に挙げられるのが、「スタジオジブリ若手制作集団」による『海がきこえる』(1993年)です。

 月刊誌「アニメージュ」に連載された氷室冴子さんの青春小説を原作にした『海がきこえる』は、1993年5月5日に日本テレビ系でテレビ放映されたスペシャルアニメです。16時から17時30分の放映枠にもかかわらず、関東地区で視聴率17.4%という驚異的な数字を記録しています。

 原作小説の挿絵を描いた近藤勝也氏がキャラクターデザインと作画監督を担当し、『めぞん一刻 完結篇』『きまぐれオレンジロード あの日に帰りたい』(ともに1988年)を手掛けた望月智充監督が、外部監督として招かれています。宮崎監督と高畑勲監督は、制作にはタッチしていません。ジブリの将来を占う、試金石でした。

「宮崎・高畑には絶対つくれない作品」と鈴木敏夫プロデューサーが絶賛した『海がきこえる』ですが、初回放映の後は2011年に日本テレビ系で再放映されたきりとなっています。

 DVD&ブルーレイ化はされており、今も根強い人気がある作品です。でも、なぜかテレビ放映されることはありません。

【画像】意外に多いぞ? なかなかTV放送されないジブリ作品たち(7枚)

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