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急増する「盗作トラブル」 創作物における著作権侵害の線引は? 弁護士に訊いた

見に覚えのない「盗用抗議」を受けたら?

当事者の間で解決できない場合は裁判を行う必要がある。画像は「裁判所」(写真AC)
当事者の間で解決できない場合は裁判を行う必要がある。画像は「裁判所」(写真AC)

――なるほど。では身に覚えがないことで「盗作、盗用だ!」と訴えがあった際、どのように対応するのが適切でしょうか。

高瀬:法律的な観点からいえば、まずは「盗作だ」と訴えている人(以下、便宜上「原告」といいます)の創作物に「依拠」したのかどうかを明らかにすべきです。そもそも原告の創作物を知らなかったのであれば、意図的にその創作物を模倣することなどできませんから、著作権侵害が成立することはありません。

 また、仮に原告の創作物を知っており、多少は原告の創作物と似てしまっているとしても、著作権法的には許される範囲の類似である場合もあります。たとえば作風のみが似ている場合です。

 その他、仮に著作権侵害は成立しないとしても、いわゆる「炎上」を回避するための対策も重要ですが、ここでは割愛します。

● オマージュやパロディは許される?

――逆に多少似てしまっていても著作権法的に許される範囲の類似である、という法律を活用して「オマージュ」や「パロディ」ということにすれば著作権侵害を回避できますか。

高瀬:実は、いわゆる「オマージュ」や「パロディ」を目的とした作品だからといって、著作権侵害が否定されるわけではありません。日本には「オマージュ」や「パロディ」に関わる作品の創作を許容する旨の特別な規定がないので、通常の創作物と同様に著作権侵害の成否が判断されることになります。

 ただ、本当にそれで良いのかは議論があり「オマージュ」や「パロディ」の扱いについては、文化庁などでも議論されているところです。

●画像生成AIの法律はどうなっているの?

――最近大きな話題となっているAI関係についてお聞かせください。AIによって生成された小説やイラスト等の創作物が、著作権侵害に該当すると法律的に判断されるラインはありますか。また著作権侵害に該当する場合、その責任はAI運営会社とユーザーのどちらが負うのでしょうか。

高瀬:この点は今まさに研究者や実務家が議論をしているところで、明確な回答はありません。どこまで似ていたら著作権侵害か?という問題については、AI生成物と人間の創作物とで判断基準は変わらないのですが、難しいのは先ほど述べた「依拠」の考え方です。

 AI生成物と類似した作品がAIの学習に利用されていたとして、それだけで「依拠」すなわち意図的な模倣と認めて良いのか、仮に責任を負うとして、それはAI運営会社なのかユーザーなのか等、色々な論点が議論されています。この点については、文化庁の「AIと著作権」という資料が参考になると思います。

――最後に創作をする上で著作権の観点から、注意すべきことがあればお聞かせください。

高瀬:何らかの作品を創作する場合、第三者の作品にヒントを得るということは普通に行われていると思いますが、アイデアのみを似せるのであれば著作権侵害が成立することはありません。どこまで類似したら著作権侵害になるのか、という線を意識し、その線を超えないようにすることが重要です。

 どこまでが「アイデア」でどこからが「表現」なのかは難しい問題ですので、判断に迷う場合は事前に弁護士等の専門家に相談するのも選択肢のひとつです。

●最後に

 誰もがクリエイターとして全世界に作品を発表できるようになり、AI生成物が登場した現在、著作権は重要な問題です。今回は高瀬弁護士のご協力のもと法律の観点から、2023年11月時点における正しい情報をお伝えしました。創作に関わる際の参考にしていただければ幸いです。

(レトロ@長谷部 耕平)

【画像】著作権的にセーフ? パロディのある名作マンガを見る(6枚)

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高瀬 亜富(たかせ・あとむ)

弁護士

北海道大学法科大学院2年過程修了。2008年東京弁護士会登録。弁護士法人内田・鮫島法律事務所パートナー。著作権を中心とする知的財産関係法務、ITビジネスに関する法務を中心に日々の業務を行う。著書として、伊藤雅浩=久礼美紀子=高瀬亜富『ITビジネスの契約実務』(商事法務、第2版2021年)、田村善之=高瀬亜富=平澤卓人『プラクティス知的財産法II 著作権法』(信山社、2020年)、共著『著作権法コンメンタールⅠ~Ⅲ』(第一法規、2020年)等がある。ご連絡・ご相談は[email protected]まで。

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