マグミクス | manga * anime * game

『ゴジラ』の芹沢博士と「原爆の父」には共通点が? 戦争に翻弄された科学者たち

ゴジラの吐いた熱線により、東京に巨大なきのこ雲が浮かび、やがて黒い雨が降り出すことに……。特撮映画『ゴジラ-1.0』が話題となっています。一方、米国でこの夏に大ヒットしたのが、クリストファー・ノーラン監督による伝記映画『オッペンハイマー』です。どちらも「核兵器」の恐ろしさを描いていることで注目を集めています。

北米での公開も決まった『ゴジラ-1.0』

映画『ゴジラ-1.0』ゴジラ全身ビジュアル (C)2023 TOHO CO., LTD.
映画『ゴジラ-1.0』ゴジラ全身ビジュアル (C)2023 TOHO CO., LTD.

 山崎貴監督によるゴジラ生誕70周年記念映画『ゴジラ-1.0』が、話題を呼んでいます。2023年11月3日に公開され、公開から2週間で観客動員135万人、興収21億円を突破しています。

 米軍の水爆実験によって被曝したゴジラが、敗戦から間もない日本に上陸。戦争を生き残った民間人たちが、ゴジラに立ち向かうというストーリーです。VFXが得意な山崎監督らしく、ゴジラが重巡洋艦「高雄」と交戦する海上シーン、ゴジラが国会議事堂を熱線で破壊するシーンなどはとても見応えがあります。

 北米でも12月1日(金)から公開されることが決まりました。庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』(2016年)の興収82.5億円を上回りそうな勢いです。

戦争の傷を負った天才科学者・芹沢博士

 神木隆之介さん、浜辺美波さんら若手キャストが出演した『ゴジラ-1.0』の注目度が高まるにつれ、シリーズ第1作『ゴジラ』(1954年)を再評価する声もあがっています。モノクロで撮影された『ゴジラ』ですが、着ぐるみとは思えない重々しさを感じさせます。ゴジラの襲撃に逃げ惑う群衆の様子も非常にリアルで、戦時中の「東京大空襲」を再現したかのような生々しさです。

 第1作『ゴジラ』を撮ったのは本多猪四郎監督。中国で半年間にわたる捕虜生活を経験した帰還兵だった本多監督は、日本への帰還時に原爆によって破壊され尽くした広島の惨状も目撃しています。本多監督をはじめとする戦争体験者たちの、反戦・反核の祈りが強く伝わってくる作品となっています。

 対ゴジラの切り札となる「オキシジェン・デストロイヤー」を開発した芹沢博士(平田昭彦)も、重要な存在です。かつては山根教授の娘・恵美子(河内桃子)と婚約していた芹沢博士でしたが、戦争で片目を失い、戦後は研究室に閉じこもるようになってしまいました。戦争によって、人生が大きく狂ってしまった悲劇的な科学者です。

 日本を襲うゴジラは加害者であるのと同時に、水爆実験の被害者でもあります。ゴジラさえも上回る破壊力を持つ「オキシジェン・デストロイヤー」を開発してしまった芹沢博士も、戦争の犠牲者です。芹沢博士の存在が、ゴジラをより恐ろしく、より哀しいものにしています。

 恵美子は一見すると清純そうなヒロインですが、元婚約者の芹沢博士がまだ自分に思いを寄せていることを知った上で、「オキシジェン・デストロイヤー」の使用を求めるというしたたかな一面を持ち合わせています。戦争や戦後の混乱期を生き延びることが、いかにきれいごとだけでは済まなかったのかを感じさせます。第1作『ゴジラ』は、やはり歴史に残る名作だと言えるでしょう。

【画像】めっちゃ欲しい!『ゴジラ-1.0』で空を駆けた戦闘機と「震電」(5枚)

画像ギャラリー

1 2