地球圏の中心でジオン愛を叫べ! 「ジオン残党勢力」の戦いや運用されたMSを振り返る
最後のあだ花を咲かせたトリントン基地への攻撃

そのほかのジオン公国軍の残党もまた、地球上をはじめとするさまざまな場所に散らばっての潜伏を余儀なくされました。
なかでも最大勢力といえるのが、小惑星基地「アクシズ」へと逃れた逃亡艦隊の一行で、1万人の軍人とその家族などを含む約3万人が移住を果たします。「ドズル・ザビ」の娘である「ミネバ・ラオ・ザビ」を擁する正統性に加え、アクシズの要塞化を果たし新兵器の開発を行なうだけの力を持つに至り、『機動戦士Zガンダム』の時期には地球連邦軍の軍閥である「エゥーゴ」と「ティターンズ」の間で争われていた「グリプス戦役」に第三勢力「アクシズ」として参戦しました。続く『機動戦士ガンダムZZ』では「ネオ・ジオン」に改称し、サイド3のジオン共和国(一年戦争後に建国された地球連邦政府内自治政権)を制圧、地球上でも大きな勢力を持つに至りますが、内紛により崩壊します。リーダーである「ハマーン・カーン」も、壮絶な一騎打ちの末に戦死を遂げました。
『ZZ』では、ネオ・ジオンに合流した残党軍の存在も確認されています。アフリカ戦線ではトアレグ族で構成された「青の部隊」が活動しており、「ゲルググ」や「ドワッジ」、「ディザート・ザク」を擁してガンダム・チームに戦いを挑みましたが激戦の末に殲滅されました。
また、「ザク・マリンタイプ」を地球連邦軍が改修した「ザク・マリナー」を使用しているネオ・ジオンの部隊も登場しており、最新鋭のMSである「カプール」を配備された際には「ザクには実績がある」と搭乗を拒否し、地元民を乗せるという扱いをしています。地上で不具合が出ても脱出は容易ですが、水中の場合はそのまま沈み死を余儀なくされるため、この判断は妥当なのかもしれません。
ジオン残党軍が最も光り輝いたシーンといえば、『機動戦士ガンダムUC』のトリントン基地攻撃でしょう。「ザクI・スナイパーカスタム」が空中から攻撃を仕掛け、「ネモIII」をはじめとする格上の機体を撃破し、「ジュアッグ」が「ジムII」と「ジムIII」、「ネモ」を次々となぎ倒し、「ディザート・ザク」と「ドワッジ」、「ドム・トローペン」が軽やかに「ガンキャノン・ディテクター」を撃破するシーンに胸躍らせた方は多いでしょう。残念ながら多くが撃破されてしまいましたが、一部の機体は撤退に成功しています。このとき出撃シーンが描かれた「グフ重装型」は、戦闘には参加せず(現場にたどり着けなかった)、後日トリントン復興に手を貸していたエピソードが、アーケードカードゲーム『ガンダムトライエイジ』のプロモーションカードで語られました。
『UC』の最終盤では「バウ」や「ギガン」、「ザクIII」など宇宙の残党軍が登場しましたが、これも殲滅の憂き目を見ています。劇場用アニメ『機動戦士ガンダムNT』に登場した残党軍は共和国軍が送り込んだ偽残党軍のため、地球圏での残党軍の活動はもはや潰えたのかもしれません。
火星に逃れた勢力が残存しているため、彼らの活動に期待したいところです。
(早川清一朗)