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「ファイヤープロレスリング」PCエンジンからプレステまで語り尽くせぬ「名勝負数え歌」

今から約30年前に登場し、シリーズ作がリリースされ続けている本格プロレスゲーム「ファイヤープロレスリング」は、プロレス好きも納得の試合運びで、発売当時から多くのプレイヤーを夢中にさせました。その大きな魅力のひとつは、現実のプロレス界とリンクした、リアルな設定にありました。

プロレスマニアも納得のクオリティと設定

「ファイプロ」シリーズ第1作、PCエンジン用『ファイヤープロレスリング コンビネーションタッグ』(ヒューマン)
「ファイプロ」シリーズ第1作、PCエンジン用『ファイヤープロレスリング コンビネーションタッグ』(ヒューマン)

 2020年3月19日(木)、PCエンジンの名作ゲームを収録した「PCエンジンmini」が発売されました。PCエンジンのソフトで忘れられない1本を個人的に選ぶとしたら、筆者の頭の中にまず思い浮かぶのが、『ファイヤープロレスリング』です。

 それまで、家庭用ゲーム機対応のプロレスゲームといえば、セガSG-1000用の『チャンピオン・プロレス』(1985年)や、ファミコン用の『タッグチームプロレスリング』(1986年発売)、そして懐かしの任天堂ディスクシステムの『プロレス』(1986年発売)などがありましたが、レスラーが選択不能だったり、タッグマッチのみだったりと、現実世界のプロレスと大きくかけ離れた設定にやや不満点があったのも正直なところです。

 そんなプロレスゲーム黎明期を経て、1989年にPCエンジン向けに発売された『ファイヤープロレスリング コンビネーションタッグ』の登場は、まさに夢のような出来事でした。登場するレスラーのバリエーションもかなり豊富です。

 アントニオ猪木(以下、プロレスラーの敬称略)をモデルとした“ビクトリー武蔵”と、前田日明をモデルにした“冴刃明”の“キングファイターズ”や、全日本プロレスの“鶴龍コンビ”をモチーフとした“トミー・ボンバー”と“サンダー・龍”の“爆雷砲”、ハンセン&ブロディをモデルにした“スター・バイソン”と“ビッグ・ザ・グレート・ブル”の“バイオレンス・モンスターズ”などが登場キャラとして名を連ねており、レインメーカーのマネージャー役だった時代の「外道さん」風に言えば「レェェェベルが違う」クオリティとなっています。

 当時のプロレスマニア目線でいえば、「1986年2・6(プロレスマニア的には日付はニイテンロクと読みます)の両国国技館での猪木対藤原喜明戦の後、猪木にハイキックをブチ込んだUWFの前田の事件からも“キングファイターズ”はあり得ない」という部分など、ツッコミどころもあったのですが、ともかく、それまでの「プロレスゲーム」に比べると「ファイプロ」はマニア垂涎の出来でした。

 レスラーが組み合い「腰をカックンと落とした」タイミングで技を仕掛けるというシステムも、それまでの「ボタン連打系」のゲームと違いますし、「小技ボタン」で相手を弱らせてから「大技」を連発してフィニッシュ、というのもプロレス的な試合運びを再現できるものとなっています。

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