「続編」がトラウマになったケースも? 色んな意味で心に残る衝撃アニメ映画
世のなかには視聴者に精神的なダメージを与える、「トラウマアニメ」なるものが存在します。しかし、それは何も流血表現の多い作品に限った話ではありません。グロテスクな場面はいっさい登場しないにもかかわらず、さまざまな事情からみんなのトラウマとなったアニメ映画作品を振り返ります。
あまりにもビターな結末が衝撃的!
トラウマなアニメ映画と聞いて、まずどのような作品を頭に思い浮かべるでしょうか。たとえば、ネット上でトラウマアニメ映画と検索すると、エロスとバイオレンスが入り乱れる『ベルセルク 黄金時代篇III 降臨』や、EVA量産機の捕食シーンにゾッとする『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』、原爆の悲惨さや恐ろしさが容赦なく詰めこまれた『はだしのゲン』など、さまざまな名作が出てきます。
思いつく作品は人によってさまざまだと思いますが、なかには人体破損描写もなければ流血表現も出てこないにもかかわらず、「トラウマになった」という意見の出る作品もありました。
●『秒速5センチメートル』
新海誠監督の名を世に知らしめた大ヒット作『君の名は。』は、少年少女の入れ替わりを通して距離と時間の違いの切なさも描いたSF青春アニメです。同じく新海監督が手がけた『秒速5センチメートル』も、惹かれ合っていた男女の距離と時間による変化をテーマとしていましたが、こちらの結末はあまりにも切ないものでした。
同作は「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」からなる短編3話で構成されており、第1話「桜花抄」では小学校の卒業と同時に離ればなれになった「遠野貴樹」と「篠原明里」の再会の日が描かれています。そして第2話「コスモナウト」では鹿児島に引っ越してきた貴樹に片想いする同級生の視点を通して、変わらず明里を想い続けている彼の様子が描かれていました。
ただ結局、第3話の「秒速5センチメートル」で貴樹と明里が結ばれることはありません。そのうえ社会人になってからも未だに明里への初恋を引きずっている貴樹に対し、明里は別の男性と結ばれて幸せをつかんでいたのです。
山崎まさよしさんの「One more time, One more chance」をバックに、ひとり寂しく街中を歩き続ける貴樹と、ひとりの女性として幸せそうな生活を送っている明里が交互に映し出されるエンディングシーンはあまりにも切なく、本作をトラウマ映画として挙げる人も少なくありません。
ただ、ラストは主人公が初恋の呪縛から解放されようやく前に進めた、とも受け取れるため「ハッピーエンド」という意見も出る作品です。なお同作はSixTONESの松村北斗さんを主演に迎え、2時間の長編として実写映画化されることが決まっています。
●『君の膵臓を食べたい』
劇場アニメ『君の膵臓を食べたい』もまた、悲恋エンドの名作として多くの人にトラウマを残した作品です。原作は住野よる先生のデビュー小説で、俳優の浜辺美波さんと北村匠海さんのダブル主演で実写映画化もされました。
おおまかなあらすじとしては、主人公である「僕」がひょんなことからクラスメイトの「山内桜良」が膵臓の病気で余命1年であることを知り、彼女の死ぬ前にやりたいことに付き合っていく……という物語です。
同作は、ふたりが出会った時点で「死別」することが決まっていました。そのうえで仲を深めていくふたりの様子を見せられることになるため、「見ていると胸が苦しくなる」「真綿で首を絞められているようだ」などの感想も出ています。
また物語の結末も、予想の斜め上を行くものでした。ラストはヒロインが病室のベッドの上で安らかに息を引き取ると思って、物語を視聴していた人も少なくないでしょう。そうした予想を見事に裏切ったビターな結末は、多くの人に衝撃を与えたはずです。