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『マリーのアトリエ』恋愛要素なし、調合を楽しむ!「世界を救うのはもうやめた」

調合の面白さを世に知らしめた

著:越智善彦『マリーとエリーのアトリエ ザールブルグの錬金術士』 新装版・上(エンターブレイン)
著:越智善彦『マリーとエリーのアトリエ ザールブルグの錬金術士』 新装版・上(エンターブレイン)

 主人公のマリーことマルローネは落ちこぼれの錬金術師で、5年以内に高レベルのアイテムを作れなければ学校を卒業できないと先生のイングリドに通告され、街中にお店を開いて依頼を受けて、お金を稼ぎつつ腕を磨いていきます。さまざまなアイテムを集めて来ては調合し、よりハイレベルなアイテムを作り出していく楽しさは、今までに味わったことのない格別のものでした。

 危険地域でしか手に入らないアイテムを採取するためにモンスターと戦う必要もありますが、仲間を集め、レベルを上げればそれほど苦労するものではありませんでした。それまでのゲームではモンスターの討伐が主眼であったところを、アイテムの採取と調合をメインに据えていることがこのことからもわかります。

 シナリオの自由度も極めて高く、親友であるシアの治療イベントなどの一部ストーリーをのぞけば、基本的には調合をしていようが冒険に出ていようが何をしていてもかまわないのも、「ああ、マリーはこの世界で生活しているただの人間なのだ」と強く感じさせてくれたように思います。

 また、恋愛要素がほぼないのも、『マリーのアトリエ』の特徴です。一応マリーに想いを寄せるキャラとして、クライスというキャラも登場するのですがさっぱり進展しません。そのためか、本作と続編『エリーのアトリエ』の後日譚である越智善彦先生の著作『マリーとエリーのアトリエ ザールブルグの錬金術士』ではマリーは独身のまま三十路を迎えてしまっています。らしいといえばらしい気もしますが。

 そして何よりも本作を名作たらしめたのが、マリーの声優を務めた池澤春菜さんの愛らしい演技です。特に「た~る?」の破壊力はすさまじいのひと言。今でも耳の奥に残って離れません。

 しかし実は、筆者が一番好きだったのはイングリド先生でした。当時、30歳の女性キャラを堂々と出してきた作品というのはかなり珍しかったように思います。次作『エリーのアトリエ』では35歳、アトリエシリーズ第3作の『リリーのアトリエ』ではまさかの少女時代が描かれており、「この世界の人たちは生きていて歳をとる。過去も未来も存在しているんだ」ということを教えてくれた、より世界に深みをもたらす存在だったようにも思えるのです。

(ライター 早川清一朗)

【画像】「アトリエシリーズ」好きな作品は?(23枚)

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