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『Zガンダム』最低のクズ男? “仮面の優しさ”で女性を支配する「シロッコ」の狡猾な本性

『Zガンダム』のシロッコは、女性への理解を語りながら実際は依存心を利用する卑劣な一面を持ちます。劇中で真意がほとんど語られないシロッコは、結局、何が目的だったのでしょうか。

シロッコの目的は何だった?

シロッコがジャケットに描かれる「機動戦士Zガンダム 13」DVD(バンダイナムコフィルムワークス)
シロッコがジャケットに描かれる「機動戦士Zガンダム 13」DVD(バンダイナムコフィルムワークス)

 欠点も含めた人間味のあるキャラクターが数多く登場する「ガンダム」シリーズ。主人公に敵対する勢力でも魅力的なキャラクターが多数います。

 そんななか、1985年に放送された『機動戦士Zガンダム』に登場する「パプテマス・シロッコ」は、ファンからも不快感をあらわにされることが多いようです。『Zガンダム』はエゥーゴ、ティターンズ、そしてアクシズと3つの勢力がそれぞれの主義主張を掲げて争うさまが描かれますが、シロッコは、何が目的なのか、その行動原理が不明瞭、そして女性に対する扱いなどが原因で嫌われやすいのかもしれません。

 果たして、作り手たちはこのキャラクターで何を描きたくて『Zガンダム』という作品に登場させることにしたのでしょうか。

●シロッコは女性に優しい人?

 シロッコは、地球連邦政府の木星資源採掘船ジュピトリスの責任者としてTVアニメ版の10話に初登場。長髪にヘアバンドのいで立ちで理知的な立ち振る舞いをする男性です。

 彼は、ニュータイプの資質を有していて天才肌の人物と言われており、モビルスーツのパイロットとしても指揮官としても、またモビルスーツ開発者として非常に優秀な人物です。

 彼はティターンズに忠誠を誓いますが、誰かの配下で終わろうとせず、後にティターンズの総帥「ジャミトフ・ハイマン」を暗殺し、自らリーダーとなります。しかし、最後には主人公の「カミーユ・ビダン」によって倒され、最後の執念でカミーユの精神を道連れにします。主人公が最終話で精神崩壊して終わるという衝撃的な結末を生み出した立役者ともいえるかもしれません。

 大胆な行動に出てティターンズを掌握したシロッコですが、彼の最終的な目的がなんなのか、実は作中でははっきり描かれていないので、よくわかりません。「自分は統治者になるつもりはない」や、「戦後の地球を支配するのは女だと思っている」などの発言があり、支配者になる野心があるわけではなさそうなのです。一方で、自分のような天才が世の中を動かすべきと思っているような発言も見受けられます。

「女性による統治」を唱えているあたり、彼は女性にやさしく、男女は平等であるべきだと考えているようにも思えます。1985年の作品とはいえ男尊女卑がきついキャラクターや、男らしさにこだわるキャラクターが出てくる『Zガンダム』の世界にあって、レアな存在といえます。

 しかし、シロッコは表向き女性に理解ある男性というふうに見えながら、その実、最も女性を狡猾に利用しているキャラクターであるのがやっかいなところなのです。

【画像】超カッコイイ! こちらが『Zガンダム』「シロッコ」が開発に関わったMS・MAです(9枚)

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