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ウルトラ怪獣でたまにいる「謎」すぎる姿のヤツら 顔もないのに「マジ強え」

怪獣のなかには、現代アートのオブジェのような姿をした子たちがいます。それもけっこうな数いるのです。あなたはどの生物が好きですか?

「怪獣」なのか? オブジェにしか見えないけれど超強い

フィギュア「ウルトラ怪獣シリーズ 130 四次元怪獣ブルトン」(BANDAI) (C)円谷プロ (C)ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京
フィギュア「ウルトラ怪獣シリーズ 130 四次元怪獣ブルトン」(BANDAI) (C)円谷プロ (C)ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京

 昭和から令和へと連綿と続いているウルトラシリーズでは、実にたくさんの「怪獣」が暴れ回りました。さてこの怪獣という言葉からは、大きな角や尻尾をもった、それこそ初代『ウルトラマン』の「ネロンガ」や「ゴモラ」といった姿が、一般的に連想されます。

 一方で各シリーズでは毎回、顔や手足がない、一見して怪獣どころか生物なのかも分からない、「なんだお前」と思ってしまう怪獣も出現しました。シリーズを通して、重要なアクセントを果たしてくれたあの怪獣(?)たちを、厳選して振り返ります。

 まずは、『ウルトラマン』の第17話「無限へのパスポート」に登場した「四次元怪獣ブルトン」です。もう原点にして頂点といえる、堂々たるデザインでした。名前からして、シュルレアリスムの提唱者である詩人「アンドレ・ブルトン」にちなんでおり、デザイン担当の成田亨さんの「半抽象」をデザインに取り入れた彫刻家としての一面が、存分に開花している怪獣です。

 劇中では、高山良策さんの造形がとにかく素晴らしく、このイソギンチャクともマカロニグラタンともつかない物体が、プルプルと小刻みに震える造りとなっていました。

『ウルトラセブン』では、第35話「月世界の戦慄」に登場した「月怪獣ペテロ」が代表的な特殊怪獣といえるでしょうか。こちらは、「ザンパ星人」が倒されたのちに出現した怪獣です。なんだか「磯」を感じさせるビジュアルですが、月に生息しています。

 手足も顔もなく、赤く発光する器官があるのみという姿でした。多肉植物のようにも見えるその姿は「ブルトン」とは異なり、「もしかしたらいるかもしれない」というリアリティが不気味です。とはいえ、何か明確な悪さをしたわけでもなく「駆除」にも似た展開は、気の毒ではありました。

 続く『帰ってきたウルトラマン』からは、「怪獣」のデザインの幅もグンと広がっていきます。多種多様な怪獣デザインがあるなかでも、「なんだお前」と思ってしまう筆頭は、第35話「残酷!光怪獣プリズ魔」に登場した「プリズ魔」です。名前からして最高でした。

 彼は光怪獣という別名を背負うにふさわしい、巨大な結晶体の姿をしています。結晶体といっても「クリスタル」のような美しい形状ではなく、アメーバ的無秩序さすら感じさせる秀逸なデザインです。無機質さでいえば、随一といえるかもしれません。そしてこのとらえどころのなさゆえに、ウルトラマンは敗北寸前まで追い詰められるのでした。

 また、『ウルトラQ』にさかのぼれば、「風船怪獣 バルンガ」という偉大なる先輩が確認できます。さらに、記事執筆時点でのシリーズ最新作『ウルトラマンアーク』では、第22話「白い仮面の男」において、やはりシュルレアリスムの代表的な画家であるルネ・マグリットの作品を思わせる浮遊物体「柱」が登場しました(これに関しては、怪獣かどうかも不明です)。

 最初の作品から最新作まで登場する「なんだお前」な怪獣たちは、オーソドックスな怪獣と同じ作品内で登場するからこそ、両者がそれぞれに輝くのです。

(片野)

【画像】え…っ? 「最初こんな色合いだったんだ」 こちらが成田亨さんが描いた絵の「四次元怪獣ブルトン」です

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