ウルトラ怪獣でたまにいる「謎」すぎる姿のヤツら 顔もないのに「マジ強え」
怪獣のなかには、現代アートのオブジェのような姿をした子たちがいます。それもけっこうな数いるのです。あなたはどの生物が好きですか?
「怪獣」なのか? オブジェにしか見えないけれど超強い

昭和から令和へと連綿と続いているウルトラシリーズでは、実にたくさんの「怪獣」が暴れ回りました。さてこの怪獣という言葉からは、大きな角や尻尾をもった、それこそ初代『ウルトラマン』の「ネロンガ」や「ゴモラ」といった姿が、一般的に連想されます。
一方で各シリーズでは毎回、顔や手足がない、一見して怪獣どころか生物なのかも分からない、「なんだお前」と思ってしまう怪獣も出現しました。シリーズを通して、重要なアクセントを果たしてくれたあの怪獣(?)たちを、厳選して振り返ります。
まずは、『ウルトラマン』の第17話「無限へのパスポート」に登場した「四次元怪獣ブルトン」です。もう原点にして頂点といえる、堂々たるデザインでした。名前からして、シュルレアリスムの提唱者である詩人「アンドレ・ブルトン」にちなんでおり、デザイン担当の成田亨さんの「半抽象」をデザインに取り入れた彫刻家としての一面が、存分に開花している怪獣です。
劇中では、高山良策さんの造形がとにかく素晴らしく、このイソギンチャクともマカロニグラタンともつかない物体が、プルプルと小刻みに震える造りとなっていました。
『ウルトラセブン』では、第35話「月世界の戦慄」に登場した「月怪獣ペテロ」が代表的な特殊怪獣といえるでしょうか。こちらは、「ザンパ星人」が倒されたのちに出現した怪獣です。なんだか「磯」を感じさせるビジュアルですが、月に生息しています。
手足も顔もなく、赤く発光する器官があるのみという姿でした。多肉植物のようにも見えるその姿は「ブルトン」とは異なり、「もしかしたらいるかもしれない」というリアリティが不気味です。とはいえ、何か明確な悪さをしたわけでもなく「駆除」にも似た展開は、気の毒ではありました。
続く『帰ってきたウルトラマン』からは、「怪獣」のデザインの幅もグンと広がっていきます。多種多様な怪獣デザインがあるなかでも、「なんだお前」と思ってしまう筆頭は、第35話「残酷!光怪獣プリズ魔」に登場した「プリズ魔」です。名前からして最高でした。
彼は光怪獣という別名を背負うにふさわしい、巨大な結晶体の姿をしています。結晶体といっても「クリスタル」のような美しい形状ではなく、アメーバ的無秩序さすら感じさせる秀逸なデザインです。無機質さでいえば、随一といえるかもしれません。そしてこのとらえどころのなさゆえに、ウルトラマンは敗北寸前まで追い詰められるのでした。
また、『ウルトラQ』にさかのぼれば、「風船怪獣 バルンガ」という偉大なる先輩が確認できます。さらに、記事執筆時点でのシリーズ最新作『ウルトラマンアーク』では、第22話「白い仮面の男」において、やはりシュルレアリスムの代表的な画家であるルネ・マグリットの作品を思わせる浮遊物体「柱」が登場しました(これに関しては、怪獣かどうかも不明です)。
最初の作品から最新作まで登場する「なんだお前」な怪獣たちは、オーソドックスな怪獣と同じ作品内で登場するからこそ、両者がそれぞれに輝くのです。
(片野)