「編集ミスじゃないよね…?」『ウルトラマン』最終回の「矛盾ある」シーンのナゾ
昭和のアニメ、マンガの最終回では、主人公のヒーローが死んで花道を飾るという展開がよくありました。「ウルトラマン」も「死ぬ」予定でしたが、途中で「負けるけど死なない」話に変えたためか、シーン前後で矛盾ある映像ができてしまったみたいです。
真相を考察、最終回のミステリー

いまから58年前の1967年4月9日、『ウルトラマン』最終回・第39話「さらばウルトラマン」が放送されました。「ウルトラマン」が負けるという、この最終回に、ファンのあいだでいまだ解明できないミステリーがふたつあることをご存じでしょうか。
「ウルトラマン」が「ゼットン」の光線を胸に受けて動きが止まる、あのシーンを思い出してください。
ウルトラマンがゆっくりと前に倒れます。カットが変わると、なぜか「うつぶせではなく、あお向けに寝ています」。これはなぜ? というのが第1ミステリーです。
さらにそのあと、救助に来た「ゾフィー」と会話をするシーンで、あお向けのウルトラマンをよく見ると、「カラータイマーが破壊されています」。これはいつ壊されたのか? これが第2ミステリーです。
これには、たくさんのファンが見解を述べています。そこで、筆者も考察しました。まず、気になるのは台本です。「さらばウルトラマン」の決定稿から重要な部分を引用します。
○シーン36:科特隊本部・附近
※一部省略。ゼットンが放つ火の玉をよけるウルトラマン。火の玉は本部に当たります。
× × ×
ゼットンに組み伏されているウルトラマン。カラータイマーが激しく点滅する。
ナレーション「ウルトラマンの体は地球上では急激に消耗する、エネルギーがなくな ると胸のカラータイマーが鳴る!ウルトラマン立て!」
よろよろと立ち上がるウルトラマン。
と、ゼットンが、ウルトラマンのカラータイマーをグシヤツと叩きつぶす。
ウルトラマンの悲鳴! 動きがとまってしまう。
ゼットン、ウルトラマンを高々とさしあげて(いつもウルトラマンが怪獣をそうするように)ドーツとばかり投げつける。
大地に叩きつけられるウルトラマン
× × ×
氷水を浴びたように立ちつくす隊員たち。言葉はもとより、声さえ失う。
動かない・・・いやすでに死んでしまつた我らのウルトラマンがそこにいるのだ。
ゼットン、ジツと見る。
シーンとした静けさが漂う。
× × ×
……これを読むと、少なくともオンエアーに、ゼットンが「カラータイマーをグシャッと叩きつぶす」「ウルトラマンを投げつける」というシーンはありません。
そもそも、この台本通りにカット割りをして撮影したら、ウルトラマンがあっさり瞬殺されて面白くないと思いませんか? 演出家なら、最期は歴史に残る名シーンにしたいと気合いが入るはずです。特技監督の「高野宏一」さんは独自の演出を増やしました。たとえば、「ゼットンにスペシウム光線が効かない」シーンは高野さんが考えたものです。そしてミステリーに迫るト書きはこのあとです。
高野監督は、追加シーンを自分の台本に手書きで加えています。それを読むと驚くべきシーンが書いてありました。それは、ゼットンが1発目の怪光線でカラータイマーを撃ち、さらに2発目が命中した、その次です。
30:「ウルトラマンのカラータイマー、遂に火を噴く」
書き足したシーンで、ここだけオンエアーがありません。おそらく飛ばして撮らなかったのだと思います。その理由は後述します。
32:「ついに崩れ落ちるウルトラマン」
これは、ウルトラマンが前に倒れて画面から消えるシーンですが、カラータイマーは赤点滅のままです。ミステリーに迫るのは、次に「あお向け」になるシーンがあるかどうかです。こう続きます。
33:「横たわるウルトラマンのUPをなめて奥にゼットン」
(※「なめる」とはウルトラマン越しにゼットンが見える、という感じ)
たしかに、オンエアーにこのような映像が使われています。この映像では、すでにウルトラマンはあお向けでした。つまり、あお向けになるシーンは、はじめからないのです。
このあとは、TVオンエアー通りに進行します。ということは「あお向け」に該当するシーンは書いてないので撮影もしていないと思われます。見ることができた高野監督の台本はここまででした。
ということで、まず「第1のミステリー・前に倒れたのにあお向け」の真相は、「不自然を承知であお向けにした」としかいえません。あまり気にしていなかったのでしょうか?
次に第2ミステリーですが、ここまで、あお向けのウルトラマンの両手がカラータイマーをおおうように、胸にあったことを覚えておいて下さい。

