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菅原文太・愛川欽也の『トラック野郎』が50周年 ヒロインとの出会いは毎回「トイレ」?

夏目雅子さんは第6作のマドンナ役で映画デビュー

夏目雅子さんが出演した第6作『トラック野郎 男一匹桃次郎』DVD(東映)
夏目雅子さんが出演した第6作『トラック野郎 男一匹桃次郎』DVD(東映)

 男臭いイメージの強い『トラック野郎』ですが、マドンナ役にはフレッシュな若手女優たちがたびたび起用されています。初代マドンナ役の中島ゆたかさんが登場するシーンは、キラキラとお星さまが輝いています。インド映画のヒロイン登場を思わせるものがあります。

 27歳の若さで夭折した人気女優・夏目雅子さんがマドンナ役で映画デビューしたのは、シリーズ第6弾『トラック野郎 男一匹桃次郎』(1977年)でした。女子大生役の夏目さんは、剣道着姿もかれんです。

 毎回のように桃次郎はマドンナに惚れるものの、恋愛は成就しません。でも、失恋した桃次郎はマドンナを助手席に乗せ、マドンナの恋人がいる港町へとトラックを急行させるのです。警察の検問などもおかまいなしです。桃次郎のおせっかいぶりに、思わず胸が熱くなります。

 印象に残るのは、マドンナだけではありません。第1作『御意見無用』のモナリザのお京(夏純子)をはじめ、女性トラッカーたちも登場し、大いに活躍します。シリーズ第5作『トラック野郎 度胸一番星』(1977年)では全国のトラック運転手たちに大人気だった歌手の八代亜紀さんが女性トラッカー「紅弁天」として出演。歌声も披露しています。

 シリーズ全10作を撮ったのは、鈴木則文監督です。『ドカベン』(1977年)などの人気マンガの実写映画化でも知られる鈴木監督ですが、菊池桃子さんのデビュー作『パンツの穴』(1984年)も撮っています。男たちだけでなく、新人女優も丁寧に、魅力的に撮る映画監督でした。

『男はつらいよ』の寅さんとの大きな違い

 全10作どれもハズレなく面白いのですが、シリーズ第8作『トラック野郎 一番星北へ帰る』(1978年)では、桃次郎が自分の生い立ちを打ち明けています。シングルマザーの静代(大谷直子)を連れてダム湖が見渡せる丘に登った桃次郎は、湖には自分の故郷が沈んでいると語ります。故郷を失い、家族もいない桃次郎は、トラックを自宅代わりにして全国を走り回っていたのです。

 松竹の人気映画シリーズ「男はつらいよ」(1969年~1995年)の寅さんには柴又という、愛すべき故郷がありましたが、桃次郎には帰る家がありません。そこが大きな違いとなっています。

 小野みゆきさんがマドンナを演じた第9作『トラック野郎 熱風5000キロ』(1979年)では、事故で亡くなった仕事仲間のために、全国のトラッカーに呼びかけ、桃次郎は夜通しで酒を飲み、仮装して踊り明かします。桃次郎なりの仲間の供養でした。

 ハチャメチャなコメディとして知られる『トラック野郎』は、日本の高度経済成長を支えた名もなき労働者たちへのリスペクトにあふれた娯楽映画だったと思います。U-NEXTなどでも配信されているので、ぜひ「昭和のおっさん」たちの底抜けなパワーに一度触れてみてください。

(長野辰次)

【画像】「えっ、意外とカッコイイ?」 これが『トラック野郎』で活躍したデコトラたちです(6枚)

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長野辰次

フリーライター。映画、アニメ、小説、マンガなどのレビューや作家インタビューを中心に、「キネマ旬報」「映画秘宝」などに執筆。現在公開中の『八犬伝』(キノフィルムズ配給)の劇場パンフレットなどにもレビューを寄稿している。

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