子供たちの「遊び方」が変化 『ファミコン』の登場が理由だったのか?
ファミコンの遊び方は変化していった

特に初期のファミコンとは遊び方がまったく違うと感じたのが『ドラゴンクエストII』です。みんなで友達の家に集まって、ワイワイと交代で遊んでいたタイトルとは全く異なり、ひとりでじっくりと進めることが前提になっていたためです。それでもまだ友達と一緒にゲームを遊ぶという文化が残っていたため友達がプレイしていた『ドラゴンクエストII』を見ていたという話を聞くことはありますが、これ以降の友達と遊ぶことを前提としたゲームは、さらに進化したハードでの 『ストリートファイターII』 や『マリオカート』『大乱闘スマッシュブラザーズ』などを待つ必要があります。
さらに、社会の変化が大きな流れをもたらします。
公園は野球やサッカーが禁止され、大声をあげるとすぐにクレームが付くようになりました。木登りをしていた木は切り倒されるか、子供たちの手が届くところにある枝は、登れないように切り倒されました。駄菓子屋さんは姿を消し、空き地には家が建ち、川の護岸はコンクリートで固められて生き物は住めなくなりました。
社会の開発が進み旧来の遊びができなくなる時代と、ファミコンゲームの進化の時代は、ちょうどマッチしていたようにも思えます。年配の方のなかにはファミコンが旧来の遊びを駆逐したという方もいますが、外での遊びが駆逐されてしまったために、ファミコンが娯楽の中心となったという流れだったとも考えられます。このあたりはおそらく地域差もあるでしょうが、少なくとも筆者の地域ではそのような状況となっていました。
現在ではゲームはオンライン化され、家のなかにいながら友達と同じゲームを遊ぶどころか、ゲームを通じて新しい友達を作れる時代になりました。新型コロナウイルスの影響で外出もままならない状況で、室内運動用に「Nintendo Switch」と『リングフィットアドベンチャー』が品切れを起こすなど、ゲームが持つ役割も多様化しています。37年前に登場したファミコンがもたらした「家庭でビデオゲームをする文化」は果たしてこれからの生活にどのような影響を与えてくれるのでしょうか。また何か、新しいものを見せてくれることを期待しています。
(早川清一朗)